わたしの本のこと

創作絵本

ぷんぷんおばけ

51jhMaw4KFL._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

怒った顔や気分て、うつりますよね。

どんどん感染して、家中みんなが、ぷんぷん怒りだすのは、なぜだろう。

じつはね、ぷんぷんおばけが、あおっているからなんです。

怒った人の頭からでるぷんぷんけむりがごちそうだから。

 

水彩のマーブリングで作った絵をパソコンにとりこんでフォトショップで加工しました。

のはらひめ

51IkUczJRZL._AC_US320_QL65_.jpg

徳間書店

 

最初の絵本です。

わたしの娘は、5歳になる少し前から「おひめさま病」にかかりました。

なにがなんでもピンクがすき。ひらひらのふりふりに憧れ、ディズニープリンセスに熱いまなざしをそそいで、うっとり、なりきり。

はっきりいって、そういうの似合わない顔立ちなのにね…。

まあ、わたしにも覚えがないわけじゃあない、かな。

幼稚園の七夕飾りをみれば、「おひめさまになりたい」短冊がもっとも増えるお年頃。

ということで、5歳のお誕生日の「ご祝儀絵本」として、彼女の夢をかなえる絵本を作りました。

でも先輩女子として、きっちり意見しておきたいことも含めたつもりです。

韓国語版もでています。

 

きょうりゅうのたまご

51G77S2N4PL._AC_US320_QL65_.jpg

徳間書店

 

わたしの息子は、2歳のときに重機の魅力にめざめました。

以来、週に二度のゴミ収集の日は、かならず作業員さんに手をふり、どこかで建設機器がうごいていれば、雨でも風でもじっと観察をする日々。

もちろん夜には、はたらく車の図鑑の読み聞かせ。

重機好きの多くが、どうやら恐竜好きに育つように思います。

というわけで息子のお誕生日の「ご祝儀絵本」として作ったのが、はたらく車ときょうりゅうの出てくる、この絵本です。

絵本に出てくる町は、日本のいろんなところにあるであろう、山も海も川もそばにある地方都市。

わたしが子ども時代の数年をすごした仙台をイメージしています。

 

 

たこのななちゃん

51AD3DX8Q3L._AC_US320_QL65_.jpg

徳間書店

 

かなこのおとうさんは、遠い海でさかなをとる漁師さんです。

ひさしぶりに帰ってきたおとうさんがつれてきたのは、足をけがした、たこでした。

かなこは、たこに「ななちゃん」と名前をつけて、いっしょにくらします。

ななちゃんは、7本の足でピアノをじょうずにひくし、ジャングルジムもとくい。おえかきもじょうずです。

 

とってもたのしい毎日。でも、そのうちにななちゃんは海が恋しくなって…。

竜宮城の浦島太郎の逆バージョンをちょっと意識しました。

いつも、ななちゃんを見守っているヒトデは、きっと乙姫さまのお使いです。

 

ことりだいすき

51ZB3JPJQNL._SX386_BO1,204,203,200_.jpg

偕成社

 

子どものころ、生き物を飼いたくてたまりませんでした。

…いや、「飼う」というのは、ちょっと違うような気がします。

転勤族の団地暮らしは制約が多く、黒馬や牧羊犬とお友達になるのが不可能な夢だというのは、幼児といえども理解はしていたので、ヒマがあれば団地の側溝をのぞいて、カエルか、せめてボウフラがいないかと探しておりました。

人間ではない生き物と電撃的な出会いをして唯一無二の心のつながりを結ぶ。それにしびれるほどのロマンを感じていたのであります。

したがって、スズメやツバメによって、神聖なる営巣地として選ばれる家が、うらやましくてたまりませんでした。

だけど、そんなふうに虎視眈々と見張っている子どものいる家には、ぜったいに営巣しないんですよね−。

 

その後わたしは、地面に落ちている巣立ち雛をみかければ、天啓を受けたジャンヌダルクのごとき高揚感をもって「救済」し、献身的にお世話をし、そして死なせました。くりかえし、くりかえし何羽も。…ごめんね、小鳥たち。

鳥獣保護の立場からすれば、単なる誘拐です。

「小鳥のヒナが落ちていても、ひろわないでね。そばに必ず親がいるから」とあるポスターは正しい。

 

でもね。

声が枯れ、目が腫れるほど泣いた私は、そのたびにステップアップしていき、やがて、小動物レスキューの技能をもつ素人に成長しましたぞ。獣医さんにほめてもらったこともあります。えっへん。

小鳥のヒナをみつけても、しらんぷりしていたら、そうはならなかったと思います。

子どもたちの「自然破壊」はちょっと大目に見てほしいのです。

それが遠回りして、自然を愛し、環境を考える大人たちを育てることではないでしょうか。

 

あらら。

話がそれちゃいました。

まあそんなわけで、小鳥だいすきな子ども時代を絵本にしました。

環境問題とはまったく関係のない、ほにゃらら〜とした絵本ですよ。(^_^;)

なんにせよ、子どもたちの「だいすき」は、じぶん自身の夢の投影です。

その夢がどっちにむかって育つのかを、おおらかに見守りたいものですね。

 

韓国版もでています。

 

 

創作童話

すてきなひとりぼっち

すてきなひとりぼっち

のら書店

 

休み時間。

一平くんがノートに絵をかいていると、みんなが寄ってきました。

ちょっといい気分。

でも、はりきって描いていたら、いつのまにか、だれもいないのです。

 

一平くんは、淡々とつぶやきます。

「ぼくは、こういう ひとりぼっちには なれている」

 

下校時。

雨のせいもあって、ちょっとみじめな一平くん。

でも、雄々しく呟きます。

「ぼくは、こういう ひとりぼっちにも なれている」

 

そんな一平くんを、さらなる悲劇(?)が襲います。

だけど、わるいことばかりでもありませんよ。

さいごには、なかなか素敵な宝物をみつけるのですから。

 

 

家族や友達といっしょの時間は楽しいけれど、人は、ひとりでいるときにこそ、いろんなことに気づき、考え、深いところで力を蓄えているのではないでしょうか。

うん、ひとりぼっち時間は大切だよね。

 

それに、ほんとは誰だってひとりぼっちなのだと気づくと、ほかの人々がいっそう愛おしくなります。

見返しにちりばめた登場人物たちの「すてきなひとりぼっち時間」にも、どうぞご注目を。

 

 

編集は、佐藤友紀子さん。

最初に「こんなお話を」と提案された内容からかなり違う方向に迷走しましたが、その都度、新鮮に驚いたり喜んだりしてくれたおかげで、ようやく結実しました。贅沢に見守られていた気分です。

 

装幀は、森枝雄司さん。

テーマカラーが青だから森枝さんと決めていましたが、Macとphotoshopの師匠としても、とことんお世話になりました。 

しかも途中でぎっくり腰になった私にワークチェアの紹介までしてくれて、もうほとんどホームオフィスアドバイザー。。。(お金払ってないけど)

 

制作過程のお話は、こちらからどうぞ。

① わたあめ製造機

② 2174と2062、でいきます

③ まるで手術台

④ デジタルお絵かき、あるいは彫り師

⑤ デジタルお絵かき、いまは摺り師です

⑥ テスト校で新年

⑦ 描き文字のヨレヨレ味

⑧ 修正はつづくよ、いつまでも…

⑨ 調理されたヨレヨレ味文字

⑩ 箔がつきましたぜ、ふっ

 

ハンカチともだち

ハンカチともだち

 アリス館

 

ある朝、はるちゃんは、ハンカチをもたずに学校へいくところでした。

あわてて部屋にもどり、引き出しのなかからとりだしたのは、こびとのハンカチ。

可愛いけど、こんなハンカチ、もってたっけ?

 

しかも、そのこびとがちょろちょろ動くので、はるちゃんは気になってしかたありません。

胸に秘密をかかえて学校生活をやり過ごすのって、大変なんですよね…。

学校って、刺激と試練に満ちた、なかなかに厳しい環境ですから。

 

ところが、どうやらもう一人、ふしぎなハンカチをもっている子がいるようです…。

そしてもしかしたら、もっと…?

 

 

ハンカチのお話をかきたくて、あれこれしているうちに、こんな物語になりました。

ハンカチって、小さくてて控えめでかさばらずにポケットや鞄に納まっているけれど、ひらけば、持ち主の個性をしっかり主張。

手ふき、汗ふき、涙ふき、をはじめ、用途は多岐にわたり、野球の球としても活躍可能。

心もつつむ小さな布のお話です。

 

はるちゃんカラーのピンクと、ミヨンちゃんカラーのミントグリーンは、かなり早い段階で装丁家の鈴木千佳子さんに選んでいただきました。

それによって、絵を描く作業がいっそう楽しくなったのです。

編集は山口郁子さん。今回も山口さんちのお嬢さん達がミューズになってくれました。

 

制作途中のお話は、こちらから。

① http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=67

② http://chihiro-nn.jugem.jp/?month=201904

③ http://chihiro-nn.jugem.jp/?month=201905

④ http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=89

⑤ http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=95

⑥ http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=99

⑦ http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=100 

 

天使のかいかた

tenshinokaikata.jpg

理論社

 

私は転勤族の子どもだったので、犬や猫が飼えませんでした。

なにか、わたしが飼えそうな生き物、おちてないかなあと、はらっぱや側溝をのぞいていたものです。

また、幼稚園の神父さまに「小さな子どもにはみんな一人ずつ、守護天使がついています」と言われたことも魅力的でした。

そのふたつが種となって生まれた物語です。

中国版、韓国版、そしてスペイン語版となって読まれています。

 

スペイン語版をだしたいと、メキシコの出版社から連絡がきたときには驚きました。

だってメキシコって、95%くらい、カトリックの国ですよ。

じつはわたし、そのむかし、ヒト月ほどメキシコの田舎に「留学」してたことがあります。「チヒロはカトリコでない」ことをしると、目をまるくして首を横に振られました。

天使のウンチを流れ星にしちゃったりした本なんて、焚書の対象になるのでは!?

その後、来日した担当編集者に話をきくことができました。

メキシコの子ども達にとって、天使はポピュラーに浸透した「キャラ」なので、とても楽しく受け入れられるのですって! ほほお、カトリコ、懐ふかかった!

売れ行き順調。地道に版を重ねています。

 

日本絵本賞読者賞をいただきました。

「読者賞」というのは、こどもたちの投票によって選ばれるもの。しみじみとうれしく、ありがたい賞です。

 

めいちゃんの500円玉

meichan.jpg

アリス館

 

お金の話を書きたいと、ずっと思っていました。

あるとき、編集者さんのおじょうさんの日常をきいていたら、彼女(と勝手にわたしが思いこんだ女の子)が主人公となって、ひろった500円玉の使い道にまようお話がうまれてきました。ありがとう、Mちゃん。

500円玉って、お金のなかでは新顔のくせにいばってます。

きっと、あの重量感を笠にきたオレ様性格ですよ。

お金はたいせつなものだけど、なにが正しい使い道なのか。

お金がもつ魔法の力に気づいた子どもたちに、くすくすわらいながら読んでもらえたらうれしいな。

 

 

しらぎくさんのどんぐりパン

shiragikusan.jpg

理論社

 

さわこと、せいやが、白い貝でできた道をたどっていくと、ふしぎなおばあさんに会います。

白い貝の道は、ほんとうにあるのです。

九州の汽水域にすむ明治生まれのお年寄りが、毎朝、お味噌汁にたべた貝の殻を下駄で踏みつぶして作ったものでした。

とおる人たちの足もとも泥でよごれないしね、って。

家の前から川沿いへと長くのびる、きらきら光る白い道。

ずいぶんいっぱいお味噌汁をたべたのか、それともずいぶん長いこと生きてきたのか…とつぶやいたのは、せいやではなく、わたしでした。

ぼくにはしっぽがあったらしい

51DCDVQGVCL._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

おしりに尾骨という、しっぽのなごりの骨があります。

なごりだろうとなんだろうと、しっぽなのです。

この小さな骨は、今でも人が緊張したときにこわばり、リラックスするとゆるむのだと聞いたとき、とても納得しました。

なんだか身に覚えがあるような気がしませんか。

進化の歴史や宇宙のなごりは、私たちのどこかにひそんでいるのです。

そこから妄想がむくむくと…。

「カッパのぬけがら」や「天使のかいかた」「おばけのことならまかせなさい」「おまじないつかい」などへと続くヘンテコ生物シリーズ (非公式名称)の1作目です。

 

まほろ姫とブッキラ山の大テング

6118qqkJX9L._AC_US320_QL65_.jpg

偕成社

 

まほろは山里にすむ、お姫さま。

そんなにすごいお姫さまではないので、ふつうの子どものように山をかけまわって遊びます。

まほろが、ふつうの子どもとちがうのは、葉っぱをつかって、なんにでもばけられること。

それは、まほろを育ててくれた乳母の砧(きぬた)が、じつはタヌキだったからです!

乳兄弟の子ダヌキ茶々丸も、人間の男の子にばけて、まほろのおやしきでくらしています。

 

あるひ、まほろと茶々丸は、ばけるのに必要な葉っぱをとりにブッキラ山にのぼり、おそろしいテングと出会います。

このテング、すごくいばっているのですが、本を読んでくださった方にはけっこう人気があります…(^o^)

 

オバケのことならまかせなさい!

51ekN5t86hL._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

わたしは、とてもこわがりの子どもでした。

小学生のとき、楳図かずお氏の漫画がのっている少女フレンド発売日には、本屋の前でわざわざ反対側の歩道にわたり、顔をそむけて歩いていたほど。

でもそうすると、よけいに想像力ムクムクで、こわくなるんですよねー。

どうしたらこの恐怖を克服できるのか…。わたしは真剣に考えました。

そうだよ、仲良くなっちゃえばいいんだ!

そんなわたしの切実な解決方法を、この本にいかしました。

だからね、こわがりのみなさん、安心して読んでください。

 

小さな王さまとかっこわるい竜

51xhdzFCd5L._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

わたしは物語を考えるとき、どんどん頭がぼんやりしてきて、そのうちにねむくなります。

ほんとうにぐーすか寝てしまって、むなしく爽快にめざめることがほとんどですが、ぼんやりとした頭のなかに何度も現れるイメージがじょじょに輪郭をあらわして、お話の芯になれば、しめたもの。

 

そのぼんやりイメージを、あまり意識的に成形しないで本にしたのが、この1冊です。

そのせいなのか、今でも、どこかひとごとのように考えます。

あの国では、あれから雨はふったのかしら。

竜は、大きくならなかったのかしらと。

夜空をみあげると、星はやっぱり小さなボタンに見えるのです。

 

郷坪浩子さんの装丁による表紙がとても素敵。

紙の質感もね、おもわず、そっとさすりたくなりますよ。

 

◻◻◻

詳しい内容に触れたブログ記事は、こちらからどうぞ。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=117

 

おまじないつかい

51nHbwrpc8L._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

ゆらちゃんのおかあさんは、ちょっと変わっています。

遠足の前に、シーツで巨大なてるてるぼうずを作ったり、ゆらちゃんが学校にいくときに、へんてこなおまじないを唱えたり。

ゆらちゃんは、クラスのみんなに笑われてしまいます。

「おまえんちのかあちゃん、魔女じゃねえの?」

不安になったゆらちゃんが問いただすと、おかあさんは言いました。

「やあねえ。魔女じゃないわよ。まほうつかいでもありません。

 わたしはね……ほら、その……、お、ま、じ、な、い、つ、か、い!」

 

おばあちゃんも、ひいおばあちゃんも、いろんなおまじないをしていたそうです。

つまり、先祖代々、おまじないつかいってこと!?

そんなわけで、ゆらちゃんも、おまじないつかいになるべく修行をはじめます。

 

でもね、おまじないつかいって、地味なんです。

おかあさんは言いました。

「まほうつかいは気がみじかいけど、おまじないつかいは、ゆっくりじっくり、ねがいごとを育てるんだよ」

 

なにをかくそう、わたしも、おまじないつかいです。

ごはんのしたくをほっぽりだして夕焼けをみにいくのも、わたし。

しゃっくりをとめるときに、おまじないダンスをするのも、わたし。

おまじないを忘れて、おたまじゃくしを煮干しにしちゃったのも、わたし (^_^;)。

きらいな人をのろいたくなって、おっと、それじゃ「のろいつかい」になっちゃうよ…と、心にブレーキをかけるのも、わたしです。

 

世界中にたくさん、たくさんいるはずの、おまじないつかいの仲間たち。

みんなの願う力をあつめて、戦争をなくそうね。

 

カッパのぬけがら

51ZNJA2FF6L._AC_US320_QL65_.jpg

理論社

 

夏の川で、ゲンタはカッパの網にかかってしまいます。

川の奥の世界までつれていかれると、ふんぞりかえっていばっているカッパが1匹。

 

おそろしいのか、ひょうきんなのか、いじわるなのか、やさしいのか、よくわからないカッパです。

仲間が次々にいなくなって、今は一人きりだとしょげているので、ゲンタはしばらくカッパといっしょにくらすことにしました。

カッパのくらしは、けっこう楽しい。

このまま、ずっとカッパでいようかな、と思ったりもするのですが…。

 

 

わたしの家の近所に用水路があります。

土手には「泳ぐな、キケン!」とかいた立て札があり、おっかない顔のカッパの絵がかいてありました。

こんな小さな川にカッパなんているのかなあ。

いてもせいぜい、生き残りの1匹だけだろうなと思ったのが、お話のきっかけです。

 

そしてもうひとつ。

ちょうどこのころ、わたしはカエルも脱皮をすることをしりました。

カエルが脱皮をするなら、カッパだってするよねえ。 (科学的根拠はありませんけど)。

 

「天使のかいかた」や「ぼくにはしっぽがあったらしい」とおなじく、絵本と読み物の中間ともいうべき本です。

水の絵は、マーブリングといって、墨流しの技法でつくりました。

水底の光など、グラデーションや、ぼかしの部分は「ブラシ屋さん」と呼ばれる職人さんにお願いをしたものです。

その後じきにブラシ屋さんは廃業なさったとか…。

コンピューター技術の進化と関係があるのでしょうね。今ではわたしもフォトショップで加工をしますから。

でもやっぱり、なんか一味ちがうんですよね、ブラシ屋さんの手仕事は。

初版が2000年の本ですが、なんだか大昔のことのよう。

 

カッパちゃん、どうしているかなあ。 

 

 

 

かりんちゃんと十五人のおひなさま

51eNYSJOBEL._AC_US320_QL65_.jpg

偕成社

 

風はまだ冷たいけれど、光の春。

くらい箱のなかで、小桜は、ながい夢から目をさましました。

うーん、と背伸びをして、顔のまわりをおおっている和紙をかさこそさせて、すぐ隣にいるはずの小梅と小桃に話しかけます。

小桜、小梅、小桃は三人官女。

今年も、ひなまつりがやってきました。

 

わたしにしては「本格的な」とりあえず文章だけで成立する読み物です。

エブリデイマジック、つまり日常の延長にあるふしぎな世界を描きたいのだ、小さき世界が魅力的だ、できれば日本の風物をつかいたいのだ、布もすきだ、文様もいいのだと、とりとめなく語っていたとき、編集者のHさんが「では、おひなさまですね」と一言。

 

その瞬間、稲妻が夜の闇を照らしたように、お話の全体像が見わたせました。

三人官女や五人囃子がいきいきと動きまわり、笑いさざめく声もきこえたのです。

そのまま電車のなかを走って帰って書きはじめたいくらいの勢いでしたが、いざ書きはじめると、やっぱり闇のなか…。

あれはいったいなんだったのだろうと、しょんぼりうろうろの暗中模索がつづきました。

 

けれど、かたちにならない物語をそっと抱えているあいだじゅう、胸があたたかかった。ときおり言葉の端からひろがる香りがたとえようもなく懐かしかったのは、やはりおひなさまだったからでしょうか。

絢爛豪華だったり、文化財だったり、手作りだったり、折り紙だったり。いろんなおひなさまに会いました。

たくさんの方の思い出話もききました。おひなさまを持てなかった思い出もふくめて。

どなたも、目元がふっとゆるんで遠くをみるまなざしになったことが忘れられません。

 

野間児童文芸賞をいただきました。

翻訳絵本

くまちゃんがちいさくなっちゃった

くまちゃんがちいさくなっちゃった

トム・エリヤン 文  ジェーン・マッセイ 絵   光村教育図書

 

あかちゃんのときに、大きなクマのぬいぐるみをもらった ぼく。

あかちゃんのぼくには、くまちゃんが大きすぎて、いっしょに遊ぶのも一苦労。

 

 でも ぼく、おおきな くまちゃんが すき。

 かぜが ふいても、あめが ふっても、ぼくを まもってくれるから。

 

そして あるとき、ぼくは、あんなに大きかったはずのくまちゃんを、ひょいと抱けることに気がつきます。

 

 あれっ、くまちゃんが ちいさく なってる。

 

いやいや、ぼくが大きくなったんですよね…。

ぼくは、ちょっと複雑な気分で、くまちゃんに囁きかけます。

 

 ぼくと おんなじ おおきさに なっちゃったね、くまくん。

 でも ぼく、ぼくと おんなじ おおきさの くまちゃんが すき。

 ふたごの きょうだいみたいだもん。

 

ぼくは、いつだって、その時々のくまちゃんの魅力を見いだします。

 

けれど月日が流れ、ぼくは どんどん成長していきます。

くまちゃんは、どんどん小さくなっていきます。

 

そしてやがて、別れがやってきます。

子どもの本の世界のお決まりコースですよね。

 

でも、この最後がとてもよい。

絵本ならではの爽やかな風がふきます。

大人の読者と子どもの読者、それぞれにちょっと異なる味わいをのこす一冊だと思います。

 

翻訳途中のブログに、もう少しいろいろ書きました。

うちのぬいぐるみ写真なども、こちらからごらんください。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=126

 

編集は、相馬徹さん。

彼がまだ若いお兄さんだった頃に名刺交換をしましたが、初のお手合わせ。

今はパパになっていて、息子くんの存在が翻訳にもよい影響を与えてくれました。

装丁は城所潤さんと、館林三恵さん。

甘くなりすぎずに品の良いしあがりです。

 

ハロウィンのかぼちゃをかざろう

ハロウィンのかぼちゃをかざろう

パトリシア・トート 文  ジャーヴィス 絵  BL出版

 

  まず はじめに

  かぼちゃを えらびましょう。

  どれに しますか?

 

      ずっしり おもたい かぼちゃを くるまに つんで

  はやく いえに かえりましょう。

  さあ、いよいよ これからが おおおしごとです。

 

本物のかぼちゃを買ってきて、ジャックオランタン、つまり、ハロウィン用のかぼちゃ提灯を作る方法が楽しく描かれます。

臨場感のあるわくわく気分を追体験するうちに、用意する物や、注意点、ちょっとしたコツやヒントもわかるところが、なかなかニクい。

 

む? この展開はしってるぞ…と思った方はいますか?

はい、『クリスマスツリーをかざろう』は、姉妹本です!

 

なによりも秋の深い色調がとても綺麗な一冊。

今年のハロウィンは、魔法の力をもつ特別ななかぼちゃを作ってみませんか。

親子で静かに炎をみつめるのも良いものですよ。

 

この本を訳していたときのエピソードは、こちらからどうぞ。↓

 http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=110 

 

編集は、内田広実さん。

装丁は鈴木美緒さん。

 

 

マザーテレサ

マザーテレサ

マリア・イサベル・サンチェス・ベガラ 文  ナターシャ・ローゼンバーグ 絵  ほるぷ出版

 

  むかし、こまっている人や 動物を みかけると、

  かならず たすけてあげる やさしい女の子が いました。

 

まるでおとぎ話のように、幼い子どもが親しみをもてる主人公のお話として始まります。

ノーベル平和賞を受賞した聖女マザーテレサも、はじめは小さな女の子だったのですから。

「子どもがはじめて出会う伝記絵本」として欧米で刊行されている Little People BIG DREAMS (小さなひとりの大きなゆめ)シリーズ。

日本では、ほるぷ出版から刊行される一作目です。

  

バルセロナ出身の著者 マリアさんは、幼い姪たちに、みずから道を拓いて夢をかたちにした女性たちのことを伝えようと本をさがし、愕然としたそうです。

女性を扱った本が、ほとんどないじゃないか……と。

なければ作ろう精神で始まったのが、このシリーズ。

 

幼い子どもが理解できる平易な文章にしよう。

絵はいろんなイラストレーターに頼んで、楽しくカラフルにしよう。

これまでの「偉人伝」でとりあげられなかった素敵な女性たちの物語を沢山しよう。

 

ところが、シリーズの評判があがるにつれて、こんどは逆に「どうして男の人の話がないの?」と悲しむ読者の声が届くようになりました。

そこで、ふむ、あえて男性を排除するのも変よね…となったとか。

ちょっとおもしろいですよね。

 

 

翻訳者としては、偉大で複雑な人物の生涯を、ミニマリズム的文章でまとめなくてはならないことに苦吟しきりでした。

本文は小学校低学年を想定したやさしい言葉の物語ですが、巻末には中高学年以上を想定して、ちょっと詳しい解説をつけています。

こちらは日本人の翻訳者たちが、各自がんばって執筆しているんですよ。

 

とても評判のよいシリーズで、欧米ではすでに40冊以上が出版され、現在も続刊中。

日本では、おもに学校図書館に配本されるそうですが、いっぱい出せるといいなあ…。

 

編集は、ほそえさちよさん。

いつも世界の「今」に目をむけている闘士&同志なので、打ち合わせがたのしいです。

装丁は、森枝雄司さん。

シリーズ全作担当。表紙の背にある黒い布目模様をどこまで目立たせるべきかなど、繊細かつ遊び心のある仕事をしてくれます。

 

メイキング話は、こちらからどうぞ。

私がマザーテレサと会ったときのことも書いています。

① http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=106
② http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=122


 

ちいさなしまの だいもんだい

ちいさなしまの だいもんだい

スムリティ・プラサーダム・ホールズ 文  ロバート・スターリング 絵  光村教育図書

 

 あるところに、どうぶつむらが ありました。

 ひつじ、うま、うし、ぶた、あひるや がちょうたちが

 それぞれ すきなところに いえを たて、

 めいめい とくいな しごとを うけもって、

 たすけあいながら くらしていたのです。

  

ところがあるとき、ガチョウたちが文句をいいはじめます。

よそものがいない昔のほうが、ずっと住み心地がよかったんですって。

むかしは 林檎がもっと赤くて、草ももっと緑だったんですって〜。

あの頃にもどろう!

古き良き時代を取り戻そう!

声高に、議会で熱く演説をするガチョウたち。

大声でまくしたてられると、つい納得しちゃうってことありますよね。

 

かくして民主的な多数決の結果、よそものの排斥が決定。

ガチョウと同じ島でくらすアヒルたちは反対をしたのですが、少数派の意見は通りません。

ちいさなしまは 鎖国状態となります。

 

さて、それからガチョウとアヒルたちに何が起きたでしょう?

くすくすにやにや笑いながら読みおわると、胸にツブツブと何かが残ります。

それはたぶん、問題提起のタネ。

 

この絵本は、2019年秋にイギリスで出版されました。

イギリスのEU離脱がテーマです。

偏狭な自分主義をとなえるガチョウたちは悪者扱いですが、本音まるだしでユーモラスで、なんだか憎めない。

じつはわたくし、しぶんの心にもガチョウが住んでいることに気づいてしまいました。

100%アヒルだと思っていたのになあ。

だけどそれは、良い気づきのはず。

ガチョウの言い分にも耳を傾けられるアヒルをめざします。

 

新型コロナウイルス騒動は、わたしたちが人や物ばかりかウイルスまでも自在に、そして即時に往来するグローバルな時代を生きていることをあらためて意識させました。

地球人すべてが大きな運命共同体。

この時代を生きていく子どもたちといっしょに読んでほしい本です。

多数決で負けたアヒルですが、さいごの頁をみると、ガチョウよりアヒルの雛のほうが多いんですよ〜♪

 

 

編集は、鈴木真紀さん。

『せかいでいちばんつよい国』以来のおつきあいで、心の中のガチョウ談義も白熱。

装丁は、森枝雄司さん。

「訳者あとがきに大切なことが書いてあるから、文字はこれ以上小さくしません!」と主張してくれてありがとう。 

 

メイキング裏話は、こちらからどうぞ。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=102

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=105 

 

 

ひみつのビクビク

ビクビク書影.jpg

フランチェスカ・サンナ作 廣済堂あかつき                      ME and my FEAR

 

   ちいさな ビクビクは

 わたしだけの ひみつの ともだち。

 

そう始まるので、イマジナリーフレンド(想像上の友だち)の話だろうとおもいますよね。

たしかに、おばけちゃんみたいな、かわいい友だちです。

 

IMG_3836.jpg

 

でも、この友だちの名前は「ビクビク」。

主人公の女の子は、なにかを怖いとおもうきもちを、そう呼んでいました。

夜のくらがりや、吠える犬に怯えるたびに、心の中の「ビクビク」を意識するのです。

 

女の子は、じぶんの「ビクビク」を恥じてはいません。

怖いと思うからこそ慎重になり、ほんとうに怖い目にあうことを避けられるし、ちょっとずつ冒険をして強くなれるとしっているから。

聡明な子ですね。

 

ところがあるとき、ビクビクはむくむく、むくむく、大きくなりはじめます。

女の子が夜も眠れず、ごはんもたべられなくなるほどに。

やがて巨大化したビクビクにがんじがらめにされて身動きとれないほどまでに。

 

でもね。

このあとの展開が素敵なのですよ。

ようやくビクビクが手におえるサイズまで小さくなったとき、女の子は気づくのです。

誰もがみんな、ひみつの「ビクビク」をもっていることに…。

 

新学期や、転入学など、新しい環境に身を置く子どもたちに読んでもらいたいと思います。

 

IMG_3844.jpg

 

この重苦しいきもち。おぼえがありますよね〜。

冷たい雨の朝なんて、ほんと、憂鬱だわぁ…。(-_-)

でもじつはこの絵本、もうすこし社会的な広がりをもってもいるのです。

 

あえて説明をくわえずにさらりと訳しましたが、女の子のビクビクが増大したのは… 

 

IMG_3840.jpg 

IMG_3842.jpg 

 

そう。

どうやら女の子は、外国に転校したらしいのです。

親の海外転勤や留学だったのかなど、背景はかいてありません。

著者フランチェスカ・サンナの第一作が『ジャーニー 国境をこえて』であったことを思うと、無一物で命からがらやってきた難民だったのかもしれません。 

今回、具体的な事情があまり語られないのは著者の意図のように思います。

それでこそ読者は気づくはず。「あれ?  みんな、おなじなのかな」と。

 

クラス替えなどでじぶんの「ビクビク」に気づいた子どもたちが、心にひそむ怯えを客観的にとらえられるようになり、やがては、ニュースに流れる難民の子どもたちの状況をしなやかに思いやれる人になりますようにと、願いながら翻訳をしました。

 

冒頭にある献辞がすてきなんですよ。 

 

IMG_3838.jpg

 

じぶんのビクビクを子どもにみせたお父さん。

どんな事情があったのでしょう。

いろいろ想像すると切ないけど、かっこよくて勇ましいじゃありませんか。

そして本の裏表紙にかかっている帯は、こんなふう。

 

IMG_3837.jpg 

 

教育、そして外国人の子どもたちを支援する活動にたずさわる大人の方達にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

 

制作途中のおはなしは、こちらから。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=64

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=70

 

編集は、いつだって絵本をめぐる視野の広さに驚かされる ほそえさちよさん。

装丁は、中嶋香織さん。タイトル文字がちょこっと震えているところにご注目。

 

 

ノロウェイの黒牛

29463332_1.png

さとうゆうすけ 絵  BL出版

 

スコットランドの昔話です。

しっとりとした雰囲気の、ふしぎな恋の物語。

 

BL出版の「せかいのむかしばなし」シリーズは、まだあまり知られていない昔話を日本人画家の絵で絵本にする意欲的な企画。

その5冊目になります。

 

わたしが翻訳依頼をうけたのは2年2ヶ月前。

でも、それより前に編集者と絵描きの間で話し合いが行われていました。

つまりこれは、編集者が、さとうゆうすけさんの絵に惚れて始まった本づくりなのです。

翻訳依頼のメールには、さとうさんがかいた黒牛とむすめの絵が添えられていました。

 

むかしばなしは、再話者によって、ずいぶん違うものです。

「ノロウェイの黒牛」は、まだ定まっていないところが多いようで、いろんなバリエーションがあります。

さとうゆうすけさんの絵にあう再話をさがすことからはじめましたが、結局のところ、石井桃子さんも訳されたフローラ・アニー・スティールの再話を底本とすることに決定。

 

そのうえで、絵本のページめくりに合わせて文を切ったり、置き換えたりするなど、変更の自由を確保するために、「訳」ではなく「文」としていただいたのです。

日本語を選んでいくときにも、さとうさんの絵を思いうかべて、ことばをさがしました。

脚本家が俳優を想定してセリフを書く、芝居の「当て書き」のようなかんじですね。

 

あとはひたすら、絵ができるのを待ったわけですが…。

ああ、やっぱり昔話の絵本化はむずかしい。

頭をかかえてしまうことも何度かありました。

さとうゆうすけさんは、もっと苦しんだことでしょう。

でもそのたびに、ひとつひとつ、新しい地平がひらけていったように思います。

誠実で、丁寧なお仕事ぶりでした。

さとうゆうすけさんの、堂々の絵本デビュー作です。

   

制作途中の記事は、こちらからどうぞ。 

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=39

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=62

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=65

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=68

 

編集は、14年前に『あめあめ ふれふれ もっとふれ』(のら書店)で初々しく担当をしてくれた 鈴木加奈子さん。編集力のさらなる向上と成熟ぶりが、嬉しくてたまらない…(^o^)

装丁は、表紙回りの美しさはあたりまえとして、本文レイアウトで底力に瞠目の 中嶋香織さん。

 

おおかみの おなかの なかで

350_Ehon_121017.jpg

マック・バーネット 文  ジョン・クラッセン  絵  徳間書店

 

  あるあさ、ねずみが

  おおかみに あいました。そして……

 

  (物語が始まったばかりだというのに)

 

  ぱくっと たべられてしまいました。

 

そんなわけで以下、物語の舞台はほぼ一貫して、おおかみのおなかの中。

おしゃれで、とぼけていて、くすくす、ぷふぷふ笑える絵本です。

 

なにをかくそう、わたしが翻訳家修業をしたのは、コメディ専門の小劇団でした。

「日本人にもっと笑いを」をモットーに旗揚げしたという熊倉一雄さんや、納谷悟朗さん。

今は亡き名優達に笑いの豊かさを教えてもらったことを思い出しながらの楽しい仕事でした。

  

メイキング話はこちらからどうぞ。

原作者二人の のほほんとした漫才みたいなYouTube動画もご紹介しています。

 

 その1http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=28

 その2 http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=35

 その3http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=60

 

編集は、小島範子さん。

おおかみや、きょうりゅうなど、おもにコワモテ主人公の物語をご一緒しています。。

装丁は、クラッセンならまかせろ、の森枝雄司さん。

クリスマスツリーをかざろう

61tT2ZWjwWL._SX452_BO1,204,203,200_.jpg

パトリシア・トート 文 ジャーヴィス 絵  BL出版

 

  まず はじめに

  木を

  えらびましょう。

  

  ほっそり のっぽの木?

    まんまる ふとっちょの木?

  どの木も とっても いい におい!

 

ほんものの木を買ってきて、一年でいちばんとくべつな木=クリスマスツリーにするまでのときめきを綴ります。

幹をノコギリで少し削ったほうがよいとか、お水はたっぷりあげましょうとか、オーナメントをかざる順番や、よりいっそう楽しむためのコツやヒントが色々しるされているので、これはもはや「実用書」。

なにはともあれ、豆電球のあかりを点すのは、いちばん最後にしてくださいね。

部屋の電気をけして、まっくらになったことを確認したら、みんなで息をひそめて、……ぱちり!

この瞬間に、クリスマスの魔法がかかるんですって。

メリー・クリスマス!

 

この本を訳していたときのエピソードは、こちらから↓

http://chihiro-nn.jugem.jp/?search=%A5%AF%A5%EA%A5%B9%A5%DE%A5%B9%A5%C4%A5%EA%A1%BC

 

編集は江口和子さん。

装丁は「めいちゃんの500円玉」も担当してくれた鈴木美緒さん。

原書タイトルの飾り文字がみごとに日本語として再現されています。

てのひらのあいさつ

てのひらのあいさつ

ジェイソン・プラット 文  クリス・シーバン 絵  あすなろ書房

 

近年、若い男性がひとりで赤ちゃんをつれて電車に乗っている姿をみるようになりました。

いい風景です。

 

赤ちゃんや幼い子どもにとって、父親の広い胸や大きなてのひらは、母親のそれとはまた違う安心感があるはず。

言葉以前につたわってくる愛情は、とても尊い。

一般的に、父親は母親ほど、言葉でうまく愛をつたえられないようですし。

そんなお父さんならではの、シンプルで深い愛の歴史です。

 

編集は、山浦真一さん。

装丁は、城所潤さん+岡本三恵さん。

 

翻訳中のブログ記事は、こちらからどうぞ。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=113

 

 

いつか あなたが おおきくなったら

350_Ehon_120840.jpg

エミリー・ウィンフィールド・マーティン 作  サンマーク出版

 

  わたしを みつめる 

  ひとみを みつめて

  わたしは ゆめみる

  あなたは これから

  どんな すてきなひとに なるのだろう

 

そう始まるこの絵本は、まだ生まれてまもない子どもたちへの祝福と期待に満ちています。

これからどんな個性が芽生え、どんな人生を歩むのかと思いをめぐらせながら幼子をみつめるときの、しんとした喜び。

いちばん素敵な文章は、さいごに置いてあります。

見守る大人の、なによりもたいせつで暖かな覚悟として。

 

 

見返し紙につかったのは包装紙ですって。つるつるつやつやだけど素朴な手触り。

紙の本ならではの魅力ですね。 

 

 IMG_3138.jpg

 

見返しをめくると、この本を贈りたいひとの名前を書く欄があります。

年月日の欄は、日本語版オリジナルで加えてもらいました。

 

IMG_3139.jpg

 

後半には左右にひろげるページ(観音開き)があります。

観音開きをつくるのって、難しいんですよ。

くちゃっと折れないように、めくりやすいように、とじやすいようにと、制作スタッフが試行錯誤をしてくれました。

あけてびっくり。おもわず笑っちゃうような絵が広がります。

作者エミリーさんの、直球のようでいて変化球かもしれない世界をお楽しみください。

 

IMG_3214.jpg 

 

制作途中のおはなしは、こちらから ↓

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=50

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=63

 

編集は、初手合わせながら響きのよさが頼もしかった 平沢拓さん。

装丁は、安心で美味しい(^o^) 水崎真奈美さん。

 

そらは あおくて

51JpEdqPoAL._SX442_BO1,204,203,200_.jpg

シャーロット・ゾロトウ 文  杉浦さやか 絵  あすなろ書房

 

アメリカ黄金期の絵本を多くてがけた名手、ゾロトウの未訳作品です。

 

五才くらいの女の子が、古いアルバムをみて、たずねます。

 

  「このこ、おかあさんなの?」

  「そうよ、おかあさんが いまの あなたと おなじころ」

 

着ている服や、お人形、くらしの風景がどれほど変化しようとも、かわらないのは母の願い。

写真のなかの時代を遡りながら、4世代の少女のくらしと、それを見守ってきた母たちの姿が穏やかに綴られます。

 

 

原書には、ガース・ウィリアムズが絵をつけていました。

古典の香りはあるものの、いささか古めかしすぎるので、このたび、杉浦さやかさんの絵で明るく可愛く生まれかわって日本上陸です。

 

じつは、この普遍的な物語を未来へとつなげるために、少々、細工をしました。

原書の初版は1963年です。

その時点で五才の女の子から4世代を遡ると…

 

  むすめ 1958年生まれ 

  母   1920年代生まれ

  祖母  1890年代生まれ

  曾祖母 1860年代生まれ

 

でもこれじゃあ、いま、この絵本を読む五才の子どもにとって「むかしばなし」ですよねえ。

じぶんのお話として読んでほしいので、2世代ほど現代に引き寄せました。すなわち…

 

  むすめ 2013年生まれ

  母   1980年代生まれ

  祖母    1950年代生まれ 

  曾祖母   1920年代生まれ

 

よ〜し!

ところが、ここで悩みが生じました。

 

原書にあるアメリカの4世代は、社会風俗が激変した時代。

子ども時代の曾祖母は、馬車に乗っていたのです。

 

その変化をきわだたせるためか、原文では四人の女の子の家の「くるま」を比較していました。

けれども2世代ぶんをたぐり寄せてしまうと、ひいおばあちゃんは馬車にのっていません。

マイカーの型式変遷だけじゃ、あんまり魅力的でもないし…。

悩んだ末に、版元にも相談して、「くるま」を「おみせ」に変えました。  

 

  おかあさんが こどものころは 

  こんな ふくを きて、 

  こんな おにんぎょうで あそんで、 

  こんな おみせで おかいものを したの。 

  そして こんな いえに すんでいたのよ。

  (…ほんとは、① dress、② doll ③ car! ④ house だったのです…)

 

この設定をもとに、杉浦さやかさんがせっせとお得意の資料収集に励んだ結果の楽しさを、どうぞじっくりごらんください。

 

制作途中の裏話は、こちらから→http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=54

 

編集は吉田亮子さん。

装丁は「サンタクロースのおてつだい」も担当してくれた わたなべひろこさん。

見返し紙の質感がすてきです。

101ぴきのダルメシアン

1106927791_main_l.jpg

ドディ・スミス 原作 ピーター・ベントリー 文 スティーヴン・レントン 絵 光村教育図書

 

白黒水玉もようの犬が101匹といえば、ディズニー映画。

アニメ版も実写版も、大ヒットしましたね。

 

じつは、あの映画には原作本の児童文学がありました。

作者のドディ・スミスが愛犬のダルメシアンを主人公にして書いたお話なので、いろんな犬種がたくさんでてきて、犬好きのツボをつかむ読みでのある本です。

でも長い。かなり長い…。

 

本書は、それをギュギュッと 短くまとめた イギリス発の絵本です。

絵柄としては、やはりディズニーを意識しています。

このクルエラの顔なんて、実写版の101そっくり〜。

(頭の白髪と黒髪を左右反対にして、ささやかに抵抗していますが…w)

 

訳文も、テンポのよいエンタテインメント性を追究しました。

かわいい子犬たちのドキドキハラハラ大冒険をお楽しみください。

 

 

この本の関連記事は、こちらから。→http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=42

 

編集は、鈴木真紀さん。

装丁は、城所潤さんと岡本三恵さん。

エンタメ路線に走っても、安定の品の良さです。 

 

 

あかちゃんがどんぶらこ!

1106877146_main_l.jpg

アラン・アールバーグ 文  エマ・チチェスター・クラーク 絵  徳間書店

 

さわやかな初夏の朝。

子どもたちは、あかちゃんを乳母車にのせて、浜辺にあそびにいきました。

たくさん遊んで、おべんとうをたべて、あかちゃんのおせわも、ちゃんとしました。

 

でもね。

凧の糸が ぷちんと切れてしまったのです。

そりゃもちろん、みんなで追いかけていきますよねえ。

 

そのすきに、あかちゃんの乳母車が そろりそろりと うごきだし……

波が ざぶーん ざぶーんと打ち寄せて……

あかちゃんは どんぶらこっこと うみの うえ!

 

ああ、なんてこと!

でも 心配ご無用。

あかちゃんには お人形たちが ついています。

お人形の ウサギくんと おぼうしちゃんと パンダさんは、かいがいしく あかちゃんのおせわをしました。

 

大海原の上の 小さな乳母車の 小さな冒険。

はらはらどきどきするけど、くすくす笑えます。

もちろん、大団円のハッピーエンド。

めでたし めでたし。

ふう、おやすみなさい。

 

アールバークの わらべ歌のような、あるいは紙芝居の語りのようなリズムの文章を意識しながら翻訳しました。

ぜひ、声にだして読んでみてください。

 

ところで、タイトルに「どんぶらこ!」を使おうと提案したのは、硬派YA小説の編集で名高い上村令さんです。

いわく「どんぶらこという表現は、べつに桃太郎の専売特許時ありません」だって〜 (^o^)!

 

この本のメイキング話は、こちらからどうぞ↓

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=31

 

1 2 3 4 5