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翻訳絵本
びんのなかのゆめ

デボラ・マルセロ 光村教育図書
ふしぎな「びん」の絵本の3冊目です。
1冊目の「びんにいれてごらん」で、ルウェリンがびんに入れたのは花、羽、小石、そしてなんと夕焼け、虹、波の音!
ふしぎはそれだけではなくて、びんに入れれば、だいすきな友だちと分かちあうことができるというロマンチックなお話です。
でも2冊目の「びんからだしてごらん」で、ルウェリンが入れたのは、不安や嫉妬、羞恥心などのネガティブな感情。
ぎゅっと蓋を閉めてしまいこんでしまえばやり過ごせることを、ルウェリンは知ってしまうのだけど…というお話です。
そしてこの3冊目で、ルウェリンがびんに入れたのは、「ゆめ」でした。
小さな憧れ、願い、希望、大きな夢までを、せっせと保管していくのです。
どれも忘れたくないものだから。
夢のびんを集める仲間もできて、みんなのコレクションはどんどん増えていきます。
けれどもある日、激しい嵐に襲われて、すべてが無残に失われてしまうのです。
ルウェリンは呟きます。「ゆめなんて、なんのやくにもたたないんだね」と。
誰の人生においても夢のびんが打ち砕かれることはありますが、 ここ数年の世界を襲った災厄のあれこれが、つい目に浮かんでしまいます。
でも大丈夫、ルウェリンは、ちゃんともういちど、顔をあげますよ。
わたしがとりわけ好きなのは、さいごにルウェリンが夢をひとつ手放すところです。
なぜなら、新しい夢を探しにいくには、からになったびんか必要だから、って。
編集は、鈴木真紀さん。「せかいでいちばんつよい国」以来のおつきあいです。
装幀は、中嶋香織さん。かわいくてふしぎで美しい世界が、よりいっそう輝きました。
製作途中のブログも、のぞいてみてくださいね。
https://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=185