わたしの本のこと

バレリー・ゴルバチョフの絵本

ゆうびんやさん おねがいね

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サンドラ・ホーニング 作  バレリー・ゴルバチョフ 絵

 

コブタくんが、遠い町にすむおばあちゃんのお誕生日に送りたいのは、お花でも絵でも手紙でもありません。

特大サイズの「ぎゅっ」を送りたいのです。

おばあちゃんの住所をかいた封筒をもって、郵便局でお願いをしてみると、特別扱いで配達してくれることになりました。

 

まずはコブタくんが、窓口のイヌさんを、ぎゅっ。

窓口のイヌさんは、郵便を仕分ける係のヤギさんを、ぎゅっ。

ヤギさんは、郵便を運ぶトラック運転手のウサギくんを、ぎゅっ。

…というぐあいに、コブタくんの「ぎゅっ」が運ばれていきます。

 

べたべたしたつきあいが苦手なヤマアラシさんも、仕事だからしかたないと観念して、トゲをねかせて、ぎゅっとしてもらうのです。

みんな、おとなですもんね。

しょうがないなあ、と笑いながらも、なにやら和気藹々としてきます。

 

こうして「ぎゅっ」は、おばあちゃんのところに無事に届きました。

すると大喜びのおばあちゃんは、すぐにお返事をだしたのです。

ん? どんなお返事かしらって?

ほっぺに「ちゅっ!」

 

読んでいるほうも、自然と口もとがゆるんできます。^w^

すてきなあまやどり

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バレリー・ゴルバチョフ 作絵  徳間書店

 

ヤギくんのところへ、ブタくんが、ずぶぬれになってやってきます。

さっきのにわか雨に、ふられたようです。

「木の下で、あまやどりをすればよかったのに」

ヤギくんは、乾いたタオルを貸してやりながら言いました。

 

ところが、ブタくんはこたえます。

「したよ」

「それなら なんで ぬれたのさ?」

「ちっちゃな ネズミが1匹、あまやどり させてって、ぼくの木の下に はいってきたの」

「そりゃ おかしいよ。ちっちゃなネズミとなら あまやどり できただろう」

「うん。でも そこへ ハリネズミが 2匹、とびこんできたんだ」

それからもバッファローが3匹、ヒョウが4匹、ライオンが5匹、ゴリラが6匹……。

ヤギくんは、うなずきます。

「なあるほど! だから きみは おしだされて、あめに ぬれちゃった というわけか!」

 

ううん、ちがうのです。

あのね、ブタくんがびしょぬれになったわけはね……。

とっても痛快、爽快。きっとどなたも笑ってしまうはず。

 

たくさんの動物たちが出てくる十までの数字の本であるとともに、ヤギくんとブタくんの漫才のような会話が愉快です。

そしてなによりも素敵なのは、ブタくんの子ども心。

初夏の噴水のように、きらきらしていて、読み聞かせにおすすめの一冊です。

 

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