わたしの本のこと

創作童話

ぼくは、ういてる。

ぼくは、ういてる。

のら書店

 

すてきなひとりぼっち』の一平くん、もうひとつの物語です。

一平くんは、ときどき ういています。

ちょっとだけね。

そのときによって ちがうけど、20センチか 30センチくらい…。

 

たいくつして、まわりと違うことを考えたり、なにかに夢中になっていると、うきやすい。

笑われたり、叱られたり、恥ずかしかったりするけど、いやなことばかりでもありません。

だって、ほら…!

 

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なんと、ほのかちゃんも ういていたのです!

しかも、ほのかちゃんは言います。

「ういてるときって、むねのなかに ふうせんがあるみたいだよね」

すると、一平の胸の中にも、ふうわりと ふうせんがうかびました。

 

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でも、ふうせんって、割れることも、しぼむことも、あるんですよね…。

わたしが本の帯の後ろに書いた言葉は…

 

 わたしも、よく うきます。

 胸に ぽっかり うきぶくろ。

 心もとなくて さびしくて、まわりの視線も 気になります。

 でも なぜか ちょっぴり きもちいい。

 

編集は、佐藤友紀子さん。

ういちゃう自分を持て余している子どもたちも、いつかきっと胸の中の「ふうせん」をうまく操縦して「うきのプロフェッショナル」になってくれることでしょう。

そんなことを話しあいながら作りました。

 

装幀は、森枝雄司さん。

いつもながらの安心感。

本は、子どもの身近にある、ささやかな美術作品、それも立体。

それを確認できることに感謝しています。

 

制作過程の裏話は、こちらからどうぞ。

① 一平くんは、ういている。

② タイトル決定、そしてまた箔★