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ジョン・クラッセンの絵本
サムとデイブ あなをほる
マック・バーネット 文 ジョン・クラッセン 絵 あすなろ書房
サムとデイブは、おじいちゃんの家の庭で、大きな穴を掘りました。
なにか、すっごいものをみつけるまで、がんばって掘ることにしたのです。
あなは ずんずん ふかくなり、
ふたりは すっぽり あなのなか。
けれど、なんにも でてこない。
「もっと ほらなくちゃね」
それでも、なんにも出てこないので、掘る方向をかえてみます。
横に掘ったり、ななめに掘ったり。
あとちょっとでみつかったはずの、すっごい宝物は、読者にしかみえません。
あはは、惜しい〜!
と、わたしたちは笑います。いわば、じぶんの運命をしらない人間たちを天上から余裕たっぷりにみつめる神さまの気分。
これって本を読む者の特権ですもんね。
サムとデイブは、さんざん掘ったあげく、くたびれはてて、ふかいふかい眠りにおちます。
するととつぜん、おっこちた。
おっこちて、おっこちて、まだまだおちて………………どすん!
と、おじいちゃんの家の庭の上。
やれやれ、くたびれたねと、おやつを食べに、おじいちゃんの家に帰っていきます。
え?
ちょっとまって! そこって、ほんとにおじいちゃんの家なの???
天上の神であったはずのわたしたちは、わけがわからなくなって、目をぱちくり。取り残された気分で、あわててしまいます。
なんともいえない、おかしみを味わってください。
なんだかメビウスの輪のような物語です。
ところで、文をかいたマック・バーネットと、絵をかいたジョン・クラッセンは、親しい友人のようですよ。
ふたりとも、永遠のいたずら少年でサムとデイブみたいだと、わたしは勝手に思っています。