わたしの本のこと

プリンちゃんシリーズ

プリンちゃんとおかあさん

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たかおゆうこ 絵  理論社

 

おかしの国のプリンちゃんシリーズの2作目です。

プリンちゃんのおかあさんは、アイスクリームのバニラさん。

そう書いたテキストをわたしたら、絵描きのたかおさんに爆笑されました。

あれ? プリンのママがアイスクリームって、へんですか…?

ごく自然にうけとめる方と、大いに違和感をおぼえる方に分かれることに気づきました。

でもまあ、家族って、いろいろだから。

1作目とおなじく、歌と楽譜もついています。

 

プリンちゃんとモンブランばあば

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たかおゆうこ 絵  理論社

 

おかしの国のプリンちゃん、3作めです。

プリンちゃんのおばあちゃんは、モンブランばあば。

たぶん、和栗のモンブランですね。母方の祖母となります。

(わたしのひみつのスケッチブックには、プリンちゃんの家系図があります)

さすがは、プリンアラモードひめになるプリンちゃんの祖母、パフェになるアイスクリームのバニラさんの母、と思わせる、おしゃれで素敵なばあばです。

そうそう、理論社HPのプリンちゃんの部屋には、きせかえもあるんですよ。

ダウンロードして、切り抜いて遊んでくださいね。

https://www.rironsha.com/きせかえプリンちゃん

 

プリンちゃんと ブラウニーとうさん

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たかおゆうこ 絵  理論社

プリンちゃんシリーズ4冊目。

おとうさんは、ブラウニーです。

素朴で飾り気がないけれど、どっしりと味わい深いのです。

苦みばしった甘さもあって、なかなかいい男。

でも、たかおさんは、コンニャクに見えないようにと苦心したようです…(^o^)

プリンちゃんのハロウィン

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たかおゆうこ 絵  理論社

 

プリンちゃんシリーズ5冊目。

おかしの国のハロウィンです。

プリンちゃんは、ともだちのドーナツくんと ババロアちゃんといっしょに仮装をして、でかけます。

前々からハロウィン版をかきたかったという たかおさん。

とても熱心に、夜の町をどう表現するかを考えていました。

そのかいあって、光と闇がとてもとてもきれい。夜の深まりとともに闇色が変化します。

ハロウィンですからね、ちょっぴ〜りだけ、こわいんですよ。ふっふっふ。

 

プリン5 メイキング記事、たくさんあります。(^_^;) よろしければ…。 

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=5

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=27

http://chihiro-nn.jugem.jp/?day=20180411

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=37

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=47

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=48

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=52

エロール・ル・カインの絵本

アラジンとまほうのランプ

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アンドルー・ラング 文  エロール・ル・カイン 絵  ほるぷ出版

 

ル・カインの絵本の翻訳って、ちょっと割の合わない仕事です。

なぜなら、ル・カインの絵本のページをめくる人にとって、文章は刺身のツマでしかないから。

それほどにル・カインの絵は繊細で華麗で魅力的。

色の響きを目で追うだけで心拍数があがります。

微量の毒や倦怠感、それと相反する親しみやすさやユーモアもふくまれていて、とりこになってしまう人たちは多く、そういう人たちにとって、文などどうでもよろしい。

だから翻訳者としては、せいぜい絵の邪魔にならないように務め、裏方に徹するべく穴のあくほど絵をみつめて、どうすればその絵を一層ひきたてられるかに腐心してひかえめに隣に訳文をおかせてもらうのです。

たっぷりと絵を味わった満足感がいちばんの報酬。

…ん。やはり、割の良い仕事かな。

三つのまほうのおくりもの

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ジェームズ・リオーダン 再話 エロール・ル・カイン 絵  ほるぷ出版

 

ロシアの昔話を、若い頃にロシアで暮らしたイギリス人作家、リオーダンが再話した本です。

貧乏で子だくさんの弟が、金持ちでいじわるな兄さんに食べ物をもらいにでかけます。

愚直な弟には、ふしぎな力が味方をしてくれて、さいごには幸せになるという定番の物語。

飢えと寒さに苦しんだロシアの民衆が語り伝えたにちがいありません。

 

翻訳にあたって悩んだのが、食べ物でした!

それというのも、この原書は英語。再話者はイギリス人。

本にでてくるロシア料理が、イギリスの子どもたちが楽しめるようにイギリスの食べ物にすり替えてあったからです。

さて、どちらの国からも遠い日本の翻訳者であるわたしは、どうするべきか。

日本の子どもたちが違和感なくお話にとけこめる食べ物にはしたいけど、味噌煮とか団子に変換するわけにはいきません。

類話の日本語版はできるかぎり読みました。みなさん、ご苦労なさっていますね。

絵描きのルカインもイギリス人なので、全体としては、むかしのヨーロッパという感じがだせれば合格点でしょうが、とりあえず、ほんとうはどんなものなのかを知りたくてたまらなくなるのは翻訳者の職業病。

私のしってるロシア料理なんてピロシキくらい…。はて、いかなる料理なのか? 

物語のロシア語版をグーグル翻訳で読み、懸案の料理とおぼしき単語をコピペで画像検索しましたが、よくわかりません。

 

そこで、担当編集者の石原野恵さんとともに、ロシアの素朴な家庭料理をたべさせてくれるというお店を訪れました。

日本人と結婚をしたロシア人女性が一人で経営しているので、日本語も堪能でしょうしね。

いかにも家庭料理らしいロシア料理をあれこれ食べ、お店に私たちしかいなくなった頃、カウンターにいるロシア人女性に話しかけました。

ところが…、ぜんぜん日本語が通じない!

四苦八苦の末にわかったのは、たまたま店番を頼まれた旅行中のご親戚ということでした。

 

でも、せっかく取材にきたのです。ロシア料理各種を平らげちゃったし…。

なんとかモトを取らねば。

身振り手振りの片言会話で、とりあえず(たぶん)いろいろ教えていただきました。

それによると(たぶん)、「ロシア料理といっても、なんたってロシアは広いからね〜、地域と民族によってぜんぜん、ちがうのよ〜〜」という、まことに雄大なお返事でした (^o^)

 

「だってほら、マトリョーシカの顔をみてちょうだい。肌や髪の毛、目の色がちがうマトリョーシカがいろいろ。これぜんぶ、ロシアなのよ〜」と、ずらりと並ぶマトリョーシカと、壁に貼ってあるロシアの地図を指さす彼女。

「こっちの顔は、この地域。あの顔は、ほら、このへんのロシアね」

「ほほお…」

「そもそも、マトリョーシカは、日本から来たのよ♪」

「へええ…」

 

石原さんと私の興味は大きくカーブを描いて(やや捨て鉢に)マトリョーシカへと向かいます。

だってこのお店、希望者にはマトリョーシカの絵付けも教えてくれるんですもの。

ほかには誰もいない店内で彼女と三人、小さなテーブルで片言会話を交わしながら、のんびりと絵付けをはじめた私たち。

ロシアならではの色づかいを教えてもらったりして、楽しかった。

まあね、広大なロシアの香りを肌で呼吸してきました、ってことで。

わたしのマトリョーシカは、秋田こまちっぽくなりました。

 

                         

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シンデレラ または、小さなガラスのくつ

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心の美しい娘が継母にいじめられつつも、高貴な身分の男性とむすばれるロマンチックストーリーは世界各地にあり、グリムの「灰かぶり」や日本の「落窪物語」もシンデレラの類話とされています。

 

でもやっぱりシンデレラといえば、ガラスの靴に、かぼちゃの馬車。

この必須アイテムは、17世紀末にフランスのシャルル・ペローが加えた独創だそうです。

サロンの貴婦人たちを相手にお話を語ったペローは女心のツボを心得ていたのでしょう。

 

そのさらに300年後に、ル・カインがのこしてくれたのが、この繊細華麗な絵本。

すみずみまで美しいのはもちろんですが、ネズミが馬に、トカゲが御者に変身するアニメシーンもみどころです。

 

ついでですが、シンデレラって足はやいんだな〜、運動神経よかったんだな〜と嘆息した子ども時代の思い出から、私は「のはらひめ」を作りました。

かしこいモリー

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ウォルター・デ・ラ・メア 再話  エロール・ル・カイン 絵  ほるぷ出版

 

まずしい三姉妹の末っ子モリーが、知恵と勇気で人食い大男をだしぬいて、幸せをつかむイギリスの昔話です。

男の子が主人公の類話もあったようですが、いつしか女の子版が定着したとか。

 

昔話は、再話者によって、ずいぶん印象のちがうものになります。

ジェイコブズによる再話は骨太で迫力たっぷり。「おはなしのろうそく」(東京子ども図書館)に収められた松岡享子さんの訳でどうぞ。

いっぽう、この再話をしたデ・ラ・メアは幻想物語の語り手、そして詩人なので、細やかな描写が特徴。文章もかろやかでリズミカルです。

 

そこへさらに、ル・カインの優美でありながらユーモラスな絵がくわわると…。

大男は、憎めないおまぬけキャラに。寝るときには、ピンクのボンボンのついたキャップをかぶってるんですよ。きっと、おかみさんの手編みですね。

それに王子さまたちの、たよりないことといったら…。

最後の闘いにでかけるモリーを見送る王子なんて、ポケットに手をつっこんで、柱に寄りかかって、もじもじしてますもん。ほんとに彼でいいのか、モリー!?

いや、モリーも逡巡したらしく、

 

 モリーは末の王子をみて、にっこりわらい、あわてて目をそらして、まゆをしかめました。

 けれど、やっぱりわらって、「やってみましょう」といいました。

 

…なんて心理描写(?)があって、わらえます。

 モリーは、めっぽう、かっこいい女子で、髪型もショートボブ。

勇気があって、かしこくて、大男への捨てぜりふも決まっています。

 

きっとデ・ラ・メアもル・カインも笑いながら、皮肉をちくちく縫いこんだのでしょう。昔話の魅力は、いろんな解釈が成立するところですよね。

 

このかっこいいモリーが大男から剣をうばって逃げていく場面の未使用原画が「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」(ほるぷ出版)に掲載されています

https://www.amazon.co.jp/イメージの魔術師-エロール・ル・カイン-エロール・ル-カイン/dp/4593505178/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1516106201&sr=8-1&keywords=イメージの魔術師%E3%80%80エロールル・カイン

未訳作品の画像も豊富な贅沢な本で、わたしも文章を寄せ、ル・カインへの複雑な恋心を綴っています。

よろしければ、ごらんください。

 

 

まほうつかいのむすめ

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アントニア・バーバー 文  エロール・ル・カイン 絵  ほるぷ出版

 

ふしぎな絵。ふしぎな物語です。

世界のてっぺんにある白く冷たい国に、とても力の強い魔法使いがくらしています。

彼の姿は黒いマントで、城も白壁に黄金の尖塔がそびえる典型的な西洋風。

でもその娘ときたら、ひき目かぎ鼻、足もとまで届く黒髪。頭にちょこんと金の冠をのせているけれど、どう見たって平安朝の姫君でしょう。

いえ、衣装は韓国風かな。むすめの部屋の調度品は中国かも。

いやいや、密林の風景はむしろ東南アジア。ところどころ、コーカサス!?

なにこれ、どうなっているの〜?

 

どうやら、娘と魔法使いは、血の繋がった親子ではないようです。

孤独に耐えられなくなった魔法使いが、幼い女の子をさらい、過去の記憶を封じて育ててきたということ。

物質的にはとても恵まれたくらしでしたが、むすめの心は満たされません。

そのむすめの心を遠くへとばす強い憧れを育てたのが「本」でした。

 

 

献辞が「地球を半周飛んでやってきたわたしのむすめに」となっています。

ベトナムから迎えた養女のために描かれた物語だそうです。

 

そして、絵をかいたル・カインは、イギリス人ですが、シンガポールで生まれ、子ども時代をアジアで過ごしました。

アジア人の血がいくらかまじっていることも強く意識していたようです。

長くはなかったル・カインの人生の、どちらかといえば晩年に描かれた絵でもあり、画風としても今までに試してきた要素が散りばめられています。

彼自身の人生も織りこんだのだろうなと、わたしは勝手に想像をめぐらせています。

 

 

 

 

おばけのジョージーシリーズ

おばけのジョージー おおてがら

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ロバート・ブライト 作絵  徳間書店

 

はずかしがりやの、ちいさなおばけ、ジョージー。

ホイッティカーさんの家にひっそりとすんでいます。

でもホイッティカーさんは、じぶんの家におばけがすんでいるなんてしりません。

あるばん、ホイッティカーさんの留守に、どろぼうがやってきて、ジョージーは困ってしまいます…。

 

かわいいおばけジョージーのシリーズは、今から70年以上前にアメリカでうまれ、ロングセラーとなりました。

物語も、おだやかで愛らしいので、こわがりの読者にもにも、おすすめです。

 

原書は横組みで大判の絵本ですが、ひとりで本を読みはじめた小さな読者の方に手にとっていただきたいので、縦組みの児童文学の体裁にしてみました。

(横組み・縦組みについては、こちらをお読みください。→http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=4)

 

 

おばけのジョージー ともだちをたすける

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ロバート・ブライト 作絵  徳間書店

 

ジョージーは、ホイッティカーさんの家にすむ、小さな、はずかしがりやのおばけです。

まいばん、古い家の階段をみしっ、ぎいっと鳴らすのが仕事。

その音をきくと、ホイッティカーさんは、もう寝る時間だなとおもうのです。

ところが、ホイッティカーさんは大きな町に旅行へいくことになりました。

ぼくが階段をみしっ、ぎいっと鳴らさないと、ホイッティカーさんは眠れないかもしれない…。

ジョージーは心配になって、ついていくことにしました。

 

ああ、なんてかわいいジョージー。

絵本から物語への橋渡しにぴったりの1冊です。

おばけのジョージーのハロウィーン

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ロバート・ブライト 作絵  徳間書店

 

小さなおばけ、ジョージーの3冊目のお話です。

ジョージーは、とてもはずかしがりやので、ハロウィーンの夜にも、こどもたちのあとから、こっそり、ついていくだけ。

ところが今年は、ひろばでハロウィーンのコンテストがひらかれます。

なかよしのネズミたちに、ジョージーがコンテストにでれば一等賞まちがいなしだと、そそのかれるジョージー。

でも、みんなの前にでて注目されることなんて、できるのかしら…。

 

教室や、発表会で人前に立つときの、胸のどきどき。

だれしも、おぼえがありますよね。

 

おばけのジョージー てじなをする

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ロバート・ブライト作絵  徳間書店

 

ジョージーは、ホイッティカーさんの家でひっそりとくらす、はずかしがりやの小さなおばけです。

人前にでるなんて、とんでもない!

ところがなんと、村の人たちの前で手品を披露することになります。

 

ホイッティカーさんが、とても困っていたから、たすけてあげたのです。

まったくもう、ホイッティカーさんたら。

ジョージーがたすけてくれなかったら、どうするつもりだったのでしょう。

 

まじめで、やさしくて、でも、どこかぬけているホイッティカーさん。

だれかモデルがいるのかしらとおもったら…。

↓ ホイッティカーさん。

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↓ 著者のロバート・ブライトさん。

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おばけのジョージーと さわがしいゆうれい

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ロバート・ブライト 作絵  徳間書店

 

小さなおばけのジョージーは、ホイッティカーさんの家のやねうらべやで、ひっそりとくらしています。

ジョージーの仕事は、まいばん、やさしい音で、階段をみしっ、居間のとびらをぎいっと鳴らすこと。

その音をきくと、ホイッティカーさんとおくさんは、もうねる時間だなと思うのです。

 

ある夏、ホイッティカーさんが、海辺の家にでかけました。

ジョージーたちもいっしょです。

すると、海辺の家には、ひどくさわがしい大きな幽霊がすんでいました!

ホイッティカーさんたちは、ねむれません。

 

ジョージーは、ホイッティカーさんの安眠のために、そして、このさわがしい幽霊の心の安寧のために、ちえをしぼります。

どの家にもジョージーのようなおばけがいてくれたら、みんな毎晩すやすやねむれるのにな。

あなたのおうちは、いかかですか?

 

デイヴィッド・ルーカスの絵本

カクレンボ・ジャクソン

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デイヴィッド・ルーカス 作絵  偕成社

 

はじめて原書を手にしたときの胸の高鳴りは、よくおぼえています。

突き抜けたように明るくお洒落な背景。

そのわりに目立たない、いや、手を抜きすぎでしょといいたくなるほど地味な主人公。

ちゃんとわけがありました。

主人公のジャクソンくんは、とてもはずかしがりやで、なるべく目立たないように、いつも背景に溶けこんで生きていたのです。

けれど、彼の繊細さが美点として発揮される時がやってきます。

 

原題は Halibut Jackson。

Halibut とは、イギリス名物フィッシュアンドチップスにも使われる、カレイやヒラメににた大きな魚のこと。

つまり、砂底に張りついて目立たないように暮らしているジャクソンくんという意味です。

さあ、これをどう翻訳するか………。

オヒョウ・ジャクソン? ヒラメ・ジャクソン? カレイ・ジャクソン?

悩んで著者のデイヴィッドにメールを書きました。

直訳は無理なので、どこかに妥協点をみいだして日本語の名前をつけなければならないのだけど、あなたがもっとも大切にしたいのは何でしょう?と。

すると意外なことに、返事は「音」でした。

意味もさることながら、Halibut Jacksonの、角張った音が魅力なのだと……。ほほう。。

そこで「かくれんぼ」を片仮名にして苗字にしてしまうことに決定。カクレンボなら、文句なくカクカクしてますもん。

その後、来日したデイヴィッドは「カクレンボ・ジャクソン」の音をとても気に入って、何度も呟いてくれました。

 

ナツメグとまほうのスプーン

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デイヴィッド・ルーカス 作絵  偕成社

 

「カクレンボ・ジャクソン」の愛らしい絵、古典と新しさを融合させたチャーミングな作風で世界を魅了したデイヴィッドの2作目。

表紙には、かわいらしい赤毛の女の子とキラキラした星が舞っています。

ところが表紙をひらくと、そこは暗く寒々しく、鉄錆色に荒れはてた世界。

しかも最初の文章は、いきなり…

 

  あさごはんは いつも ダンボール。

  ひるごはんは いつも ひも。

  ばんごはんは いつも おがくず。

 

なにこれ? なによこれ?

わけがわからないまま胸がきゅうっと締めつけられて、デイヴィッド・ルーカスという人物、ただものではない……と思ったのでした。

それでもやっぱり、かろやかなユーモアと、ノスタルジックなおとぎ話の味つけ、絵と色の美しさは保証つきです。

 

くじらのうた

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デイヴィッド・ルーカス 作絵  偕成社

 

3作目は、海と空の深い青に染まった絵本です。

海辺の町に、どどーんと、打ち上げられてしまった鯨と、町の人たちのお話。

町と鯨をすくうには、どうしたらよいのか。

いろいろ知恵をめぐらせたあげく、風や月や太陽にも相談をして、とほうもない大きなスケールで、みんなは待つのです。

 

  かぞえきれないほど たくさんの ほしたちは、もちろん、

  たがいに あれこれ そうだんするじゃろう。

 

満天の星の語りあう音がきこえてきそうな頁が、とてもすきです。

ロボットとあおいことり

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デイヴイッド・ルーカス 作絵  偕成社

 

働くだけ働いて、心臓が壊れたロボットは、ゴミの山に捨てられてしまいました。

胸がからっぽなのに、話し相手すらいません。

そこへやってきたのは、南の国へ渡りそびれた青い小鳥……。

有名なおとぎ話をいくつか下敷きにしながら、デイヴィッド・ルーカスは現代をみつめ、そこから新たなおとぎ話を紡ぎだします。

 

大人と子どもがわかちあえる絵本で、誰かが誰かの心にすみはじめる瞬間の心のゆらぎをこれほど繊細に描いた作品を、私はほかにしりません。

ほらふきじゅうたん

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デイヴイッド・ルーカス 作絵  偕成社

 

古いお屋敷の暗い室内に、大理石の少女像が置かれています。

台座に刻まれた文字は「フェイス」。「信じる」という意味です。

ある午後、大理石の少女フェイスは深い眠りからめざめて、呟きます。

「わたし、ここでなにをしているのかしら」

 

すると足もとに敷かれた虎の絨毯がこたえます。

「きみは魔法で石にされたんだよ」

フェイスは、いつか魔法がとけて、やわらかなほっぺたの女の子にもどれると信じるようになります。

 

ところが、虎の絨毯はぺらぺらしゃべりつづけます。

「ほんとうのことを信じてもらえないとき、人はうそをつく。

おれが話したのはうそばかり。なにひとつ、ほんとうじゃないのさ」と。

 

なにが本当で、なにが噓なのか。

フェイスは混乱します。読者も。

 

ふしぎな物語です。

曖昧とした余韻のなかに、古い宝石箱のように何かがきらめいているような…。

それこそが真実というものかもしれません。

 

作者デイヴィッド・ルーカスは「哲学を、難解な言葉ではなく絵本のポエジーで語ってみたい」と話していました。

哲学と、詩情。

折にふれて読み返す一冊です。

ピーター・レイノルズの絵本

っぽい

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ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

ラモンはとてもたのしく絵を描いていたのに、おにいちゃんに「ちっとも似てないじゃん」と笑われて傷つき、ぷっつりと絵を描かなくなってしまいます。

そのラモンの心をすうっと広げてくれたのが、妹マリソルの「わたし、すきだよ。○○っぽい絵だもん」という言葉。

そうか、それでもいいのか…と、ラモンは自由になります。

 

表現するって、どんなことなのでしょうね?

そっくりに再現することではないはず。

ラモンの気づきは、絵にとどまらず、生き方まで広がっていきます。

 

そういえば、ラモンくんには、ピーター・レイノルズのべつな絵本のなかで前に会ったような…。

「てん」(谷川俊太郎訳 あすなろ書房)のラストにでてきた小さな男の子の成長した姿だろうと、私は思っています。どうですか?

 

現代は " ish "。

○○らしい、○○みたい、○○くらい…などの意味で、別の単語にくっつける小さなコトバです。

たとえば、30-ish といえば、30歳くらいのという意味。

曖昧にごまかす表現なので、あんまり格が高くないけれど便利なコトバ。

日本語にするなら「っぽい」だなと、私は早い段階で決意しておりました。

読みにくい、意味がまったくわからない、ゴミ捨ての本だと誤解されそう、などなどの至極真っ当な反対を押し切らせていただきました。(^o^)

装丁家、水﨑真奈美さんの描き文字がかっこいい。

 

そらのいろって

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ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

マリソルは、絵を描くことが大好きな女の子。

学校のみんなで大きな壁画をかくことになり、マリソルは空を受け持ちます。

ところが、困ったことに青い絵の具がみあたらない!

青がなかったら、空なんてかけるはずないのに…。

そのときマリソルは空をみあげます。夕方の空を、夜空を、夢のなかでも。

空は青くない!

豊かな色にみちた世界がひろがり、マリソルの心に絵をえがく喜びがみちあふれるのです。

 

このマリソルは、はい、すでにお気づきの方もいるでしょうが、「っぽい」でラモンに「わたし、その絵 すきだよ」といった妹です。

うむ。やっばり、「てん」→「っぽい」→「そらのいろって」は、お絵かき三部作ですね。

 

マリソルはその後、画家になったことでしょう。

でもラモンは、絵描きにはならなかったと思う。詩人になったのではないかしら。

そして「てん」に出てきたワシテは、学校に先生になったのかも。

子どもが絵をかくのは、画家になるためではありません。

もっと広く豊かな可能性のため、人生をよりよく歩むためです。

 

我田引水的ですが、拙著「おえかきウォッチング」もごらんください。(^^)/

 http://chihironn.com/menu/566056

 

びじゅつかんへいこう

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スーザン・ベルデ 文  ピーター・レイノルズ 絵  国土社

 

美術館へやってきた女の子。

バレリーナの絵をみれば踊りだし、キュビズムの絵にはあかんべをし、抽象画をみて笑いころげます。感じたままに、からだで反応。

解説やタイトルから「正しい鑑賞」を探ろうとはしません。

そして深い満足とともに、美術館をでていきます。

 

  わたしの むねの なかは

  どっくん どっくん あたたかい。

  びじゅつかんが まるごと はいっているみたいにね。

 

この子が靴をはいていないのが象徴的かも。

こんなふうに、よけいな身構えなしに、ふだんの気分で作品とむきあえるのがうらやましい。

鑑賞者の心のもちようもさりながら、美術館の環境整備にも改善すべき点はあるよなあ…と、先日でかけた美術展の大混雑を思い出して、ちょっとためいき…。

 

ゆめみるハッピードリーマー

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ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

原題は Happy Dreamer ですが、著者のピーターが構想段階でつけていたタイトルは Amazing Delightful Happy Dreamer でした。

そう、これはADHDといわれる子どもたちへの応援歌なのです。

 

「てん」や「ちいさなあなたへ」をはじめ、数々のヒット絵本を創り出したピーターも学校では苦労をしたようです。

それでも自信と誇りをもって、みずからを「ハッピードリーマー」だと言い、ADHDといわれた子どもたちへ熱いメッセージを送ります。

 

   きみやぼくのように夢をみる人、つまりドリーマーの人生には、

       おもしろいことがたくさん待ちうけています。

   いま地球がかかえるさまざまな問題には、

       古い考えにとらわれない創造的な頭脳が必要なのですから。

 

発達障害とよばれる子どもたちの近くにいる大人たちに、ぜひ読んでいただきたい絵本です。

ピーターの思いを汲んで、日本語版の帯には「Aあなたは Dだいじな Hハッピー Dドリーマー」と入れました。(^o^)

きょうりゅうたちシリーズ

きょうりゅうたちのおやすみなさい

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ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵  小峰書店

 

はじめて読む人は、目がぱちくり。

だって、けっこうリアルなきょうりゅうたちが、子ども部屋で遊んだり絵本を読んだりしているのです。

そこへ人間のお父さんやお母さんがやってきて「もう ねるじかんだよ」と言います。

すると、きょうりゅうたちは、ゆかをどすんどすんと踏みならしたり、ほえたり、あばれたりで「ねむくないよー!」……。

 

そう、きょうりゅうたち= こどもたち なのです。

泣きわめく子どもがきょうりゅうに見えた経験者は多いはず…(-_-)

でも、ご心配なく。さいごにはちゃんと、すやすやとねむってくれます。

本のさいごの文章も

 

  おやすみなさい。

  うちの かわいい きょうりゅうちゃん。

 

つまりは教育絵本なのですが、なにしろ、きょうりゅうたちの暴れっぷりが痛快なので、読んでいる子どもたちは、にやにやして、ぼくはここまで悪い子じゃないよと思うみたいです。

心の中でじゅうぶん解放されて、すんなりいい子になってくれるかも…(?)。

10種類のリアルな恐竜が登場し、名前もついているのが図鑑のよう。

その名前が隠し絵っぽいところも、おたのしみのひとつです。

 

きょうりゅうたちがかぜひいた

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ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵

 

こどもたちを、リアルでユーモラスなきょうりゅうの絵でえがく「うちのきょうりゅうたち」シリーズ2冊目です。

大人でもそうですが、体調のわるいときは、きげんもわるい。

病院へいくのをいやがり、ひいひい、ぐずぐず。

なんでもかんでも やだもんやだもんの わからんちん。

親子の攻防戦に笑えます。

 

 はやく げんきに なってね、

 うちの かわいい きょうりゅうちゃん。

 

1冊目とはちがう恐竜たちが10種類登場しますよ。

 

きょうりゅうたちのいただきます

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ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵  小峰書店

 

こどもたちを、元気でリアルなきょうりゅうとして描くシリーズの3冊目は食育です。

きらいなものは断固拒否してたべなかったり、牛乳でぶくぶくしちゃったり、口いっぱいにほおばって、おしゃべりしたり。

いろいろありますよね、たべるよりも、まず叱らなくちゃいけないシーン…。

一応、教育絵本ですが、きょうりゅうたちが大暴れしてくれるので、お説教くささがふっとぶ大らかさが魅力です。

 

10種類のきょうりゅうの名前は、英語と日本語で書いてあります。

ここじゃすぐに見つかってつまらないかな、これじゃ難易度たかすぎるかな、などと考えながら、描き文字専門の方にかいてもらった日本語名を絵の中にひそませました。

 

 たくさん たべて おおきくなってね、

 うちの かわいい きょうりゅうちゃん。

 

 

 

きょうりゅうたちがけんかした

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ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ絵  小峰書店

 

いやあ、迫力ありますね。

なんたって、きょうりゅうのけんかですもん。

どしーん、どすーんと、地響きが聞こえてきそう。

わたしは、涙を流しながら「あのこが さきに やったんだもん」と、うその告げ口をするナストケラトプスちゃんが好きです。

 

仲直りしたいのに、「ごめんね」が言いだせないこどもたちに、いろんな仲直りの方法を紹介します。

ああ、もう4冊目になると、巷のこどもたちがみんなきょうりゅうに見えてきます…。。

 

 ほーら、なかなおりって いいきぶん。

 どのこも かわいい きょうりゅうちゃん。

 

きょうりゅうたちのクリスマス

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ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵  小峰書店

 

元気なこどもたちをリアルなきょうりゅうの姿でえがく、このシリーズ。

もちろん、クリスマスがやってきます。

お祭り気分にそわそわ、わくわく。

ツリーをじゃらじゃら揺らしたり、きれいな箱をみつけたら紙をやぶってあけちゃったり、サンタさんがくるまで寝ないでみはっていたり…。

まちきれないんだよね。わかるわかる!

でもね、ふくらむ期待を、そおっと大切に胸もとに抱いて待つことって、とても大切なんだよ。

それは喜びを何倍にも大きくしてくれるから。

 

  さあ、プレゼントは なんだろう?

  メリー・クリスマス、

  うちの かわいい きょうりゅうちゃん!

きょうりゅうたちも ペットをかいたい!

きょうりゅうたちも ペットをかいたい!

ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵

 

「ペットを かいたいよぉ〜!」と泣きわめいて親と攻防戦をくりひろげる きょうりゅう(=子ども)たちの物語…ではありません。

 

冒頭、おとうさんとおかあさんから、魅力的な提案があるのです。

「うちも そろそろ ペットを かおうか」

ペットを飼うことの意義を理解している両親のようです。すてき、すてき。

 

だけど、ひとくちに「ペット」といっても、いろんな選択肢がありますよね。

ワイルドな きょうりゅう(=子ども)たちが突っ走った先は、なんと動物園!

力任せに、トラやゾウを誘拐してきちゃいます…。

 

いやいや、ちょっとまて、それはちがうから…(^_^;)。。

ということで、どんな動物を、どこで入手するのが望ましいのかという動物愛護のテーマに、ぐぐーんとシフトするのです。

 

このシリーズは破天荒なファンタジーのようで、じつは真っ当な「しつけ絵本」。

くすくすにやにや笑わせながら、人と野生動物たちとのかかわりに目をむけさせるあたりがニクいです。

 

翻訳過程の裏話は、こちらから→http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=87

 

 

 

きょうりゅうたちの おーっとあぶない

きょうりゅうたちの おーっとあぶない

ジェイン・ヨーレン 文  マーク・ティーグ 絵  小峰書店

 

元気な子どもたちをパワフルきょうりゅうとして描く、このシリーズ。

7冊目は安全教本です。

階段で、庭先で、路上で、プールで、食事中にだって、子どもの暮らしにはヒヤッとすることがたくさん起こります。

どうすれば防ぐことができるのか。

 

子どもたちが喜ぶ絵本だからこそ、くすくす笑いながらいっしょに考えてほしいという、作者たちの思いがつたわってきます。

結びの言葉は…

 

  これで あんしん。

  もう だいじょうぶ。

  こわいことなんて

  ひとつも ないよ。

  のびのび たのしく あそぼうね、

  うちの かわいい きょうりゅうちゃん。

 

わたしたち大人の心からの願いですね。

 

装丁は、シリーズ最初からのきょうりゅう担当、木下容美子さん。

編集は、本の前袖に「元気いっぱいの こどもたちにおくる おまもり絵本」という素敵な文をいれてくれた西塔香絵さん。

 

制作過程の裏話は、こちらからどうぞ。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=103

 

 

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