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ドン・フリーマンの絵本
しずかに! ここはどうぶつのとしょかんです
ドン・フリーマン 作絵 BL出版
カリーナは としょかんが だいすき。
この日も、あこがれの司書さんと ちょっとおしゃべりをして、どうぶつの本をよみました。
どうぶつたちも ほんを よみたいかもしれないな。
わたしが としょかんの ひとだったら、
どうぶつだけが としょかんに はいれる とくべつな ひを つくるのに…
そこから、カリーナの空想が むくむく。
ほら、空想のなかのカリーナは、司書さんといっしょの おだんごヘアですよ。
色もやさしいパステルカラーで、ほんとにかわいい絵本です。
ドン・フリーマンは「くまのコールテンくん」で有名なアメリカ人の絵本作家。
ジャズトランペッターだったのに、地下鉄でトランペットを置き忘れたのをきっかけに絵に専念…って、泣き笑いのような経歴の持ち主です。
1978年に70歳で亡くなっており、いまの著作権者は息子のロイ・フリーマンさん。
翻訳にあたり、いくつか質問をさせていただきましたが、おとうさんによく似た、やさしいおじいちゃまのようでした。
そのロンさんに許可をお願いしたことのひとつを、ここで告白しましょう。
原書では、主人公の名前は Cary、ケアリーです。
それをわたしはカリーナに変えてしまいました。なぜかというと、このお話では、カナリアがとても重要な役割をはたしているから。
カナリアは英語では Canary。キャナアリーという発音になり、主人公の名前ケアリーと、音も綴りも、微妙によく似ているのです。
まあ、英語ネイティブ読者も10人に8人は気づかないでしょうけど。
日本語でカナリアに似た名前ってなんでしょう。カナちゃんとか?
だめだめ。それじゃ10人のうち9人が気づいちゃう。
で、思いついたのが、カリーナ。
するするっと読めば気づかない。
本をさいごまで読んで主人公とカナリアとの絆がわかったら、10人のうち2人が気づくかも。
もしかしたら二度目、三度目に読んだときに?
それでじゅうぶん。
絵本は、何度も読んでいただくことを前提としておりますので。
ダッシュだ、フラッシュ!
ドン・フリーマン 作絵 BL出版
ダックスフントの夫婦のおはなしです。
フラッシュは なまけもの。まいにち、ひるねばかり。
はたらくのは おくさんの シャッセばっかり。もう限界!
「きょうは あなたが しごとに いって たべものを さがしてきてちょうだい」
お尻をたたかれ、しぶしぶ出かけたフラッシュは、あろうことか 電報屋さんに就職します。
「あしの はやいかた」という条件なのにねえ。
でも だいじょうぶ。
足のみじかいフラッシュは、混み合う街の人々の足もとをくぐりぬけて ミッションコンプリート! やればできる!
ほめられて 労働の喜びにめざめたフラッシュ。こんどは一転、ワーカホリックになってしまって、ろくに家に帰りもしません。
あきれ顔の 妻シャッセ。
そのうちに、ほらみたことか、燃え尽き症候群…。
けれども、さいごは ほんわかとしたハッピーエンドにまとまります。めでたし めでたし。
家庭生活アルアルの夫と妻の物語ですが、こんなふうに 子どもも含めてみんなで楽しめる絵本にしてしまうあたりが ドン・フリーマンの力、あるいは古き良きアメリカの包容力なのかなと、今となっては博物館ピースとなった「電報」という媒体とともに、遠いまなざしで眺めてしまいます。
ハロウィーンのまじょ ティリー
ドン・フリーマン 作絵 BL出版
ティリーは ものすごくいじわるな魔女。
それって、魔女としては優秀だってことですよ。
でもある夜、月にみとれて うっとりしていたら、おかしなことになりました。
にこにこ顔がはりついて、元のいじわる顔にもどらなくなってしまったのです。
折しも、あしたはハロウィーン。魔女としての晴れ舞台なのに。
ホウキにのってるのは まどろっこしいので、いまどきの魔女ティリーはサーフボードにのって空を飛んでいきます。
ワッホー島のワヒワヒ先生の診察をうけたり、母校の魔女学校で勉強をしなおしたり。
魔女の大鍋に お砂糖やチョコレートプリンのもとを入れて先生を激怒させる失敗もしますが、さいごにはちゃんと自発的に立ち直ります。
どうやって、って?
子どもたちにとって、魔女が怖い存在でなくなったら、ハロウィーンの楽しみがなくなってしまうと思ったからですよ。
だからティリーは、世にも恐ろしい顔で、子ども達をこわがらせるんですって。(^-^)
縦組みの児童文学の体裁なので「翻訳児童文学」のほうに入れるべきかと迷いましたが、ドン・フリーマンの作品としてこちらにおさめました。
本の縦組み、横組みについては、こちらをお読みください。
http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=4
ハロウィーンのまじょ ティリー うちゅうへいく
ドン・フリーマン 作絵 BL出版
ことしも もうじき ハロウィーン。
まじょのティリーは プラネタリウムで星の勉強をして、宇宙にいきたくなりました。
今年のハロウィーンは宇宙人をおどかしにいこうっと。
まず、宇宙船をつくらなくっちゃね。
大鍋に それっぽい材料を入れて、まほうのことばをとなえて、スーパーベッタリ接着剤で部品をくっつけて、トンデケガソリンを注入して、ゴゴゴゴゴーッ!
さすがは優秀な魔女。
優雅に宇宙旅行をたのしみますが、トンデケガソリンが切れて、よくわからない星に不時着。
きっと火星でしょ。だって火星人がいるんだもの。ついでに、おばけや、あくまや、大きなカボチャもいるけど。
ん、それって…?
さて、ティリーのハロウィーンは、どうなるのでしょう。
これもやはり、原書はぎゅう詰めの横組み本だったのを、縦組み読み物の体裁になおしたものです。
左が原書。右が日本語版。
原書は横組みなので、左から右にお話が進みます。
宇宙船の発射シーンが左ページに、宇宙をとびまわる宇宙船のシーンが右ページにと、おなじ見開きにふたつのシーンが入っています。
いっぽう、日本語版では、それぞれのシーンをひとつの見開きで、ゆったりと組んであります。
でも、判型がちょっと小さくなり、宇宙船がお話の進行方向である左にむかうようにと、版をひっくりかえしています。
あまりやりたくないことですが、メリットとデメリット、どちらがよいかを天秤にかけました。
これも子どもの本の翻訳しごとの範疇かなと、わたしは考えています。