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翻訳絵本
そらは あおくて
シャーロット・ゾロトウ 文 杉浦さやか 絵 あすなろ書房
アメリカ黄金期の絵本を多くてがけた名手、ゾロトウの未訳作品です。
五才くらいの女の子が、古いアルバムをみて、たずねます。
「このこ、おかあさんなの?」
「そうよ、おかあさんが いまの あなたと おなじころ」
着ている服や、お人形、くらしの風景がどれほど変化しようとも、かわらないのは母の願い。
写真のなかの時代を遡りながら、4世代の少女のくらしと、それを見守ってきた母たちの姿が穏やかに綴られます。
原書には、ガース・ウィリアムズが絵をつけていました。
古典の香りはあるものの、いささか古めかしすぎるので、このたび、杉浦さやかさんの絵で明るく可愛く生まれかわって日本上陸です。
じつは、この普遍的な物語を未来へとつなげるために、少々、細工をしました。
原書の初版は1963年です。
その時点で五才の女の子から4世代を遡ると…
むすめ 1958年生まれ
母 1920年代生まれ
祖母 1890年代生まれ
曾祖母 1860年代生まれ
でもこれじゃあ、いま、この絵本を読む五才の子どもにとって「むかしばなし」ですよねえ。
じぶんのお話として読んでほしいので、2世代ほど現代に引き寄せました。すなわち…
むすめ 2013年生まれ
母 1980年代生まれ
祖母 1950年代生まれ
曾祖母 1920年代生まれ
よ〜し!
ところが、ここで悩みが生じました。
原書にあるアメリカの4世代は、社会風俗が激変した時代。
子ども時代の曾祖母は、馬車に乗っていたのです。
その変化をきわだたせるためか、原文では四人の女の子の家の「くるま」を比較していました。
けれども2世代ぶんをたぐり寄せてしまうと、ひいおばあちゃんは馬車にのっていません。
マイカーの型式変遷だけじゃ、あんまり魅力的でもないし…。
悩んだ末に、版元にも相談して、「くるま」を「おみせ」に変えました。
おかあさんが こどものころは
こんな ふくを きて、
こんな おにんぎょうで あそんで、
こんな おみせで おかいものを したの。
そして こんな いえに すんでいたのよ。
この設定をもとに、杉浦さやかさんがせっせとお得意の資料収集に励んだ結果の楽しさを、どうぞじっくりごらんください。
制作途中の裏話は、こちらから→http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=54
編集は吉田亮子さん。
装丁は「サンタクロースのおてつだい」も担当してくれた わたなべひろこさん。
見返し紙の質感がすてきです。