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ピーター・レイノルズの絵本
こころのおと
ピーター・レイノルズ 作絵 主婦の友社
小さなラジは、ピアノで遊ぶのがだいすきでした。
たたくと、いろんな音が とびだしてくるし、
ペダルをふめば、水彩絵の具のように 音がにじむ。
夢のような音色に驚いたお父さんは、ラジに音楽の才能を認めて、ピアノを習わせます。
まじめなラジは一生懸命練習をして、どんどん上達します。
ところが上手になればなるほど、ピアノを弾くことが楽しくなくなってしまったのです。
やがてラジは社会人になり、ピアノをやめて、家を出ていきます。
音楽の消えた家で、お父さんは、ひとりしずかに老いの時間を重ねていきます。
そしてあるとき倒れて、ラジが呼ばれます。
「なにか、僕にしてほしいこと ない?」
たずねたラジに、お父さんは頼みます。
小さなころ、いかにも楽しげに弾いていた曲名のない音楽を奏でてほしいと。
作者ピーター・レイノルズの文章が寄せられています。
病床の父と、父の瞳に輝きをとりもどしたいと願う私のあいだに、
ことばはありませんでした。
かたちをもたない感情がゆきかうばかり。
それにもっとも近いものが音楽だったのです。