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デビッド・マッキーの絵本
さんびきめのかいじゅう
デビッド・マッキー 作絵 光村教育図書
石ころだらけの島に、赤いかいじゅうと青いかいじゅうがすんでいました。
石ころをかたづければ快適なくらしができるのだけど、2匹は、なまけもの。
あるひ、ボートが流れつきました。乗っていたのは、きいろいかいじゅう。
すんでいた国が地震でめちゃめちゃになり、命からがら逃げてきたという きいろいかいじゅうは へんてこな言葉で 懇願します。
「おねがい、とち、ちょっぴり ください。わたし、なんでも しますです」
よそもの、おことわり!
赤いかいじゅうと青いかいじゅうは、きいろいかいじゅうを追いだそうとしましたが、いいことを考えつきました。
そうだ、こいつに 石ころをかたづけさせちゃおう!
きいろいかいじゅうは、せっせと働きます。
そしてみごとに してやられた 赤いかいじゅうと青いかいじゅう。
さあて、このあと三びきは いっしょに仲良くくらせるのでしょうか…?
お察しのとおり、これは移民や難民の問題をテーマにした絵本です。
「ぞうのエルマー」で有名になったイギリス人作家デビッド・マッキーは、4カ国語をあやつり、異なる文化背景をもつ女性と家庭をもって、つねに社会的な視点から絵本を作りつづけた作家です。
この絵本が出版されたばかりの2005年の夏、わたしは来日したマッキーさんと夕食をともにしました。
日本酒をのみ、お箸でじょうずにサラダをたべるマッキーさんがいいました。
「おいしいサラダを作るコツはね、歯ざわりのちがうものをまぜることだよ。
いろんなのがまじっていてこそ、おいしいんだ」と。
よそ者を警戒し、恐れるきもちはだれにでもありますが、とりわけ近年、世界的にひろがる排他主義を感じます。
でもこの本、出版から12年目に絶版がきまってしまいました。
ざんねんだなあ…。