わたしの本のこと

フランソワーズの絵本

たのしいABC

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フランソワーズ 作絵  徳間書店

 

  Aのつくもの apple

      appleは りんご  

  ぼくは りんごうり   

  みなさん かってね おいしいよ 

 

というぐあいに、AからZまで。かわいい絵とともにアルファベットが紹介されます。

わたしのお気に入りは X。

 

  Xのつくもの  X

      Xで はじまる ことばは あんまり ない

  だから Xのクッキーを つくったよ

  いっしょに たべよう

 

1939年初版。フランス生まれのフランソワーズがアメリカに渡って仕事を始めてまもない頃の本です。

こういう古い絵本の翻訳には、独特のむずかしさがあります。

まず、原書が手に入らない! 学校や公共図書館のボロボロになった廃棄本を、まるで唐の国から渡来した仏典のように大切にスタッフ一同で共有することもしばしば。

とうぜんのことながら、原画が手に入らない! 運良くコレクターや美術館で保管されている原画の一部を見ることができたとしても、そこに至るまでに日に焼けて退色していたりして本来の色がわからないなんて、しょっちゅう。日本で出版されている美しい本は、編集者や装丁家、そして印刷所のみなさんの研究と努力の賜物です。

表現がいまの時代に合わない。 たまに差別的な表現もあります。

 

それでも、もういちど世に出したいと思わせる魅力にあふれる本たち。

古い本のリペア仕事、だいすきです。