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デイヴィッド・ルーカスの絵本
ほらふきじゅうたん
デイヴイッド・ルーカス 作絵 偕成社
古いお屋敷の暗い室内に、大理石の少女像が置かれています。
台座に刻まれた文字は「フェイス」。「信じる」という意味です。
ある午後、大理石の少女フェイスは深い眠りからめざめて、呟きます。
「わたし、ここでなにをしているのかしら」
すると足もとに敷かれた虎の絨毯がこたえます。
「きみは魔法で石にされたんだよ」
フェイスは、いつか魔法がとけて、やわらかなほっぺたの女の子にもどれると信じるようになります。
ところが、虎の絨毯はぺらぺらしゃべりつづけます。
「ほんとうのことを信じてもらえないとき、人はうそをつく。
おれが話したのはうそばかり。なにひとつ、ほんとうじゃないのさ」と。
なにが本当で、なにが噓なのか。
フェイスは混乱します。読者も。
ふしぎな物語です。
曖昧とした余韻のなかに、古い宝石箱のように何かがきらめいているような…。
それこそが真実というものかもしれません。
作者デイヴィッド・ルーカスは「哲学を、難解な言葉ではなく絵本のポエジーで語ってみたい」と話していました。
哲学と、詩情。
折にふれて読み返す一冊です。