わたしの本のこと

ピーター・レイノルズの絵本

っぽい

ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

ラモンはとてもたのしく絵を描いていたのに、おにいちゃんに「ちっとも似てないじゃん」と笑われて傷つき、ぷっつりと絵を描かなくなってしまいます。

そのラモンの心をすうっと広げてくれたのが、妹マリソルの「わたし、すきだよ。○○っぽい絵だもん」という言葉。

そうか、それでもいいのか…と、ラモンは自由になります。

 

表現するって、どんなことなのでしょうね?

そっくりに再現することではないはず。

ラモンの気づきは、絵にとどまらず、生き方まで広がっていきます。

 

そういえば、ラモンくんには、ピーター・レイノルズのべつな絵本のなかで前に会ったような…。

「てん」(谷川俊太郎訳 あすなろ書房)のラストにでてきた小さな男の子の成長した姿だろうと、私は思っています。どうですか?

 

現代は " ish "。

○○らしい、○○みたい、○○くらい…などの意味で、別の単語にくっつける小さなコトバです。

たとえば、30-ish といえば、30歳くらいのという意味。

曖昧にごまかす表現なので、あんまり格が高くないけれど便利なコトバ。

日本語にするなら「っぽい」だなと、私は早い段階で決意しておりました。

読みにくい、意味がまったくわからない、ゴミ捨ての本だと誤解されそう、などなどの至極真っ当な反対を押し切らせていただきました。(^o^)

装丁家、水﨑真奈美さんの描き文字がかっこいい。

 

そらのいろって

ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

マリソルは、絵を描くことが大好きな女の子。

学校のみんなで大きな壁画をかくことになり、マリソルは空を受け持ちます。

ところが、困ったことに青い絵の具がみあたらない!

青がなかったら、空なんてかけるはずないのに…。

そのときマリソルは空をみあげます。夕方の空を、夜空を、夢のなかでも。

空は青くない!

豊かな色にみちた世界がひろがり、マリソルの心に絵をえがく喜びがみちあふれるのです。

 

このマリソルは、はい、すでにお気づきの方もいるでしょうが、「っぽい」でラモンに「わたし、その絵 すきだよ」といった妹です。

うむ。やっばり、「てん」→「っぽい」→「そらのいろって」は、お絵かき三部作ですね。

 

マリソルはその後、画家になったことでしょう。

でもラモンは、絵描きにはならなかったと思う。詩人になったのではないかしら。

そして「てん」に出てきたワシテは、学校に先生になったのかも。

子どもが絵をかくのは、画家になるためではありません。

もっと広く豊かな可能性のため、人生をよりよく歩むためです。

 

我田引水的ですが、拙著「おえかきウォッチング」もごらんください。(^^)/

 http://chihironn.com/menu/566056

 

びじゅつかんへいこう

スーザン・ベルデ 文  ピーター・レイノルズ 絵  国土社

 

美術館へやってきた女の子。

バレリーナの絵をみれば踊りだし、キュビズムの絵にはあかんべをし、抽象画をみて笑いころげます。感じたままに、からだで反応。

解説やタイトルから「正しい鑑賞」を探ろうとはしません。

そして深い満足とともに、美術館をでていきます。

 

  わたしの むねの なかは

  どっくん どっくん あたたかい。

  びじゅつかんが まるごと はいっているみたいにね。

 

この子が靴をはいていないのが象徴的かも。

こんなふうに、よけいな身構えなしに、ふだんの気分で作品とむきあえるのがうらやましい。

鑑賞者の心のもちようもさりながら、美術館の環境整備にも改善すべき点はあるよなあ…と、先日でかけた美術展の大混雑を思い出して、ちょっとためいき…。

 

ゆめみるハッピードリーマー

ピーター・レイノルズ 作絵  主婦の友社

 

原題は Happy Dreamer ですが、著者のピーターが構想段階でつけていたタイトルは Amazing Delightful Happy Dreamer でした。

そう、これはADHDといわれる子どもたちへの応援歌なのです。

 

「てん」や「ちいさなあなたへ」をはじめ、数々のヒット絵本を創り出したピーターも学校では苦労をしたようです。

それでも自信と誇りをもって、みずからを「ハッピードリーマー」だと言い、ADHDといわれた子どもたちへ熱いメッセージを送ります。

 

   きみやぼくのように夢をみる人、つまりドリーマーの人生には、

       おもしろいことがたくさん待ちうけています。

   いま地球がかかえるさまざまな問題には、

       古い考えにとらわれない創造的な頭脳が必要なのですから。

 

発達障害とよばれる子どもたちの近くにいる大人たちに、ぜひ読んでいただきたい絵本です。

ピーターの思いを汲んで、日本語版の帯には「Aあなたは Dだいじな Hハッピー Dドリーマー」と入れました。(^o^)

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