わたしの本のこと

翻訳絵本

ちっちゃい おおきい おんなのこ

クレア・キーン 作絵 ほるぷ出版

 

ちいさな女の子のマティスにとって、海は 大きい。空も 大きい。

世界の なにもかもが大きくて、マティスは とっても ちっちゃい。

だけど、ちいさなマティスには、みっちりと命がつまっています。

 

そして あるとき、マティスに 弟が うまれます。

うわあ、ちっちゃい!

あれ? もしかして、マティスは おおきくなったのかな?

 

弟や妹がうまれるときの不安や複雑な思いは、この絵本のテーマではありません。

とことんポジティブ。

そうだよねえ、新しい命、のびゆく命って、そういうものだよねと微笑ましくて、おもわず口もとがゆるんでしまいます。

うんうん、たのみますよ、ちっちゃい おおきい おにいちゃん、おねえちゃんたち。

 

この絵本のメイキング過程を書いた「ときたま日記」もあわせてどうぞ↓

 http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=16 

 http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=26

いっしょにおいでよ

ホリー・M・マギー 文  パスカル・ルメートル 絵  廣済堂あかつき

 

テレビのニュースをみて、こわくなってしまった女の子。

テロやヘイトスピーチなどの映像を見てしまったようです。

こわばった表情で、おとうさんにたずねます。

「こんなのって いやだ。どうしたらいいの?」と。

 

幼い子どもにそうたずねられたら、大人はなんて答えればよいのでしょう。

「子どもは心配しなくていいよ」と言ってしまいそう…。

でも、それでほんとうに不安は消えるでしょうか。

 

たとえ、どんなにささやかでも、じぶんにできることをする。

そして、同じ思いのだれかと手をつなぐ。

そのほうが不安は和らぐはず。いろんなことが、きっと良い方向へまわりはじめるはず。

 

南米には、一羽のハチドリが小さなくちばしに水滴をふくんで山火事をけそうとした昔話があるそうです。

むだなことをと笑われたハチドリは「わたしにできることをしているだけ」と答えたとか。

近年、環境問題を考える人びとのあいだで「ハチドリのひとしずく」はよく語られるようになりました。

 

絵をかいたパスカルは、「この本はぼくにとって、ハチドリのひとしずくだ」と言っています。

わたしにとっても、小さな小さな、けれどたいせつなひとしずくです。

だれかに届きますように。

 

この本の制作過程については、「ときたま日記」をごらんください。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=7

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=19

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=25

 

 

 

 

 

 

 

ずっと 

ケイト・クライス 文  サラ・クライス 絵   WAVE出版

 

エリは、うまれたときから、犬のバロンとくらしてきました。家族として。

エリが六才になったとき、バロンはもう おじいちゃん。

残された時間は多くないことに、エリは気づきます。

 

ペットと子どもの別れを描く絵本はいくつかありますが、この本が一味ちがうのは、エリのきもちとバロンのきもちが微妙にすれちがっていることでしょう。そこが文学的。

エリはバロンのために、いろんなことをやってあげたい。あれも、これもと欲張ります。

読者としては、ちょっとハラハラして、えー、それちがうでしょと、エリに注意をしたくなってしまいます。

だけどやっぱり、それでよかったようです。

 

翻訳しながら、O・ヘンリーの賢者の贈り物を思い出しました。

きもちのボタンの掛け違いは、はたからみると、ちょっと滑稽。

それでも濃やかに通うものがある関係というのは、人と人のあいだでも、動物とでも、おなじような気がします。

家族って、きっとそんなもの。

 

この本の依頼をうけたとき、一瞬ためらったわたしに、浜本律子編集者がつぶやきました。

「悲しい本じゃないと思うんです」。

 

訳し終えて、そのとおりだと思います。

幸せな本です。

 

この本の制作裏話は、こちらをお読みください。

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=13

http://chihiro-nn.jugem.jp/?eid=22

 

 

サイモンは、ねこである。

ガリア・バーンスタイン作 あすなろ書房 

 

シンプルなかわいい絵本だけれど、風刺とメッセージがちゃんと隠れています。

しかも押しつけがましくなく、ゆかいな砂糖衣にくるんで。

こんなふうに大人も子どもも重層的にたのしめる絵本がだいすきです。

 

ちなみに、あすなろ書房のY編集者からいただいた翻訳依頼のメールは「ねこ、お好きですか?」でした。

うふふ、うちには、かわいいハンジがいるのよん。

(サイモンと、耳の方向がぎゃくだけど)

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たくさんのお月さま

ジェームズ・サーバー 文  ルイス・スロボドキン 絵  徳間書店

 

福武書店で児童書編集部をたちあげた二人の編集者が、徳間書店に移って児童書を始めたときの企画のひとつ。

「たくさんのお月さま」はすでに、いろんな画家の絵、いろんな訳者で刊行されていましたが、スロボドキンの絵によるオリジナルの絵本は未刊行だったのです。

帯に「スロボドキンの絵は本邦初」のような文章をおさめて入稿しようという矢先に、かつてほんの一時期、光吉夏弥さんがこの絵本を出版されていたことを知りました。あら、たいへん!

貴重な1冊が大阪の国際児童文学館にあるときき、新幹線で大阪へ。

書庫からだされたのは、まさに、これと同じ絵本。

終戦直後の印刷事情のわるい時期に出版されたため、小さくて、紙も粗悪で、印刷文字も曲がったり欠けていたり。

でも、それゆえにこそ、戦後の日本の子どもたちへの熱い思いが感じられました。

そして光吉さんの訳文は、サーバーの文章の難解な部分も誤魔化さずに平易なことばへと噛み砕くなど、終始、子どもたちのほうをむいた配慮がこまやかで、ほんとうにすばらしいものでした。

かけだしの翻訳者としては、その文章を読まないうちに翻訳をすませることができてよかったと胸をなでおろすばかり。

同時に、光吉夏弥さんたちの文章をよんで子ども時代をすごせたことを、しみじみと感謝したのです。

 

 

どうぶつがすき

パトリック・マクドネルド 作絵  あすなろ書房

 

原題は " Me...Jane"。

「わたし、ジェーン」って感じでしょうか。

どうぶつがだいすきな女の子ジェーンの物語。

ジェーンは、おとうさんからチンパンジーのぬいぐるみをもらい、動物と自然への興味をはぐくんでいきます。

にわとりが、どうやって卵をうむのかをしりたくなり、鶏小屋に何時間も潜伏し、とうとうその瞬間を目撃。自然の驚異にいっそう魅了されます。

愛読書は「ターザン」。ターザンの恋人の名前もジェーンですしね。

いつかアフリカにすみたいな。

たくさんの動物たちとなかよくなりたい。

 

ジェーンはその憬れをずっとずっと大切にして……、ふむ、どうなるのかなと絵本の頁をめくると、えっ? なにこれ!?

読者の目は、点になるはず。

わたしもそうでした。

 

これは高名な動物学者ジェーン・グドールの子ども時代を描いたユニークな絵本なのです。

「おおきな ゆめの ちいさな はじまり」

ほんとうに帯のことばのとおり。

 

日本絵本賞 翻訳絵本賞をいただきました。

この本について、もうちょっと詳しく書いた記事は、こちら。

http://www.kodomo.gr.jp/kodomonohon_article/918/

 

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ソーニャのめんどり

フィービー・ウォール 作絵  くもん出版

 

ふわふわのひよこを三羽わたして、おとうさんがソーニャにいいました。

「ひとりで せわを してみるかい?」

 

ソーニャがよく世話をしたので、ひよこはすくすく育ち、卵をうんでくれるようになりました。

ところがあるばん、一羽がきつねに襲われてしまいます。

かなしみと怒りで混乱するソーニャをしっかりうけとめて、おとうさんは静かに話しはじめます。

もしかしたら、きつねにも、おなかをへらした子ぎつねたちがいるのかもしれないよ、と。

 

  おとうさんが ソーニャを かわいがるように、

  ソーニャは ひよこたちを かわいがっていた。

  きつねも おんなじなんだよ。だから いのちを かけて まもるんだ。

  ソーニャなら、きつねの きもちも わかるんじゃないかな。

 

若いアメリカ人作家の、1作目となる絵本です。

こっくりとした色彩。パッチワークのような手芸的で素朴な画風。

とりあえず「小動物の世話をとおして命の尊さを学ぶ本」であることにまちがいありませんが、作者の目線は、そのはるか向こうに投げられています。

ソーニャのおとうさんとおかあさんの肌の色は違います。

近年、とみに排他的なうごきのある世界のなかで、どこの国のどの世代の人びとにも、安直にじぶんの正義をふりかざすのではなく、ふみとどまって考えてほしいという強いメッセージを、わたしは受けとりました。

 

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あきちゃった!

アントワネット・ポーティス 作絵  あすなろ書房

 

いつだって、

いぬの なきごえは ワン。

ねこの なきごえは ニャー。

カラスは カア。ハトは ポー。

 

世間の常識というのは、そういうものです。

ところがあるひ、スズメとおぼしき茶色いことりは、チュンと鳴くのにあきてしまいました。

どんな歌をうたいたいのかわからないけど、とにかく、チュンではありません。

もっとへんてこりんな歌。たとえば…

アチャピッピ ポケプー!

 

だけど、そんなアバンギャルドな行為は世間に受け入れられません。

仲間の鳥たちに呆れられ、バッシングも始まります。

でもね。いったんは自粛した茶色い小鳥は、6分後にまた、へんてこりんな歌をおもいついてしまったのです。

チュルチュル チュルリン チュリッパ!

だって、おもしろいことって、やめられないんですもの。

 

そんなわけで、原書の半分は辞書にのっていないへんてこりんな英語ばかり。

これってもはや翻訳とはいえない。

とりあえず著者に、なにを基準に日本語にしたらよいでしょうとたずねました。

するとお返事は「読者が笑ってくれることを第一目的に」(^o^)

 

そんなわけで、机にむかって、犬の散歩をしながら、あるいはお皿を洗いながらも、わたしは小声で「アッパラポッケ……ポッポケラッタ……プリプリッペン」と呟いて家族に呆れられたのでした。

 

みなさんも、どうぞ、好きな節にのせてお読みください。

いやむしろ、新たなへんてこりん語にかえちゃうことも大歓迎。

ンチャカチャッチャ♪

 

105にんのすてきなしごと

カーラ・ラスキン 文  マーク・シーモント 絵  あすなろ書房

 

金曜日の夕がた。

空が暗くなり、街のあかりがともるころ、105人のひとたちが仕事にでかける用意をはじめます。

男の人が92人で、女の人が13人。

まずは全員、お風呂に入ります。シャワーを浴びる人、湯舟でのんびり本を読む人、泡風呂を楽しむ人。

お風呂からあがると、からだをふいて、ひげをそって、バウダーをはたいて。

男の人のパンツは、トランクス派とブリーフ派にわかれます。さむがりの人の下着はとくべつ。靴下にもいろいろあります。ぶきっちょさんや、ずぼらくんもいますね。

女の人のきがえは、もっとめんどうです。パンツ、ストッキング、ガードル、ブラジャー、スリップ…。冷え性対策も怠りません。

でも下着の上に着る服は、みんな白と黒。

 

 おんなのひとのうち、8にんは、くろい ながい スカートを はきました。

 そのうえに、くろい ブラウスか、くろい セーターを きます。

 4人は、くろい ながい ドレスを きました。

 あとの ひとりは、くろいブラウスを きて、

 くろいジャンパースカートを はきます。

 

…なあんていう、おもしろくもない(^_^;)文章が延々とつづくのですが、これがなぜか、絵とあわせて読むととってもおもしろいんですよ。

まさに絵本の醍醐味。

105人の生活を、空からのぞいているような気持ちになります。ささやかな日常がいとおしい。

きがえをすませた105人は、それぞれの家をでて、電車やバスやタクシーや徒歩で、仕事場にむかいます。

 

そこは、大きな音楽ホール。

そう、かれらはオーケストラの音楽家たちでした。

重厚で美しい音が流れはじめます。

ひとりでは到底だせない厚みのある音色が。

 

 

この本は、かつて、すえもりブックスから岩谷時子さんの訳ででていた『オーケストラの105人』の再訳になります。

わたしもむかし、図書館から借りて読んだことがあったのですが、ぶるぶるっと頭を振って、その印象を忘れさり、きもちをあらたに翻訳にとりくみました。

さいごまで悩んだのはタイトルです。

原題は "The Philharonic Gets Dressed"。直訳すれば「オーケストラメンバーがきがえをします」。

そこに「105人」を入れたのは岩谷さんのお手柄です。端的で印象的。さすが!

 

もちろん、そのままは使えません。だけど、105人は使いたい。どうか使わせてください…と、むうむう悩んだ末に『105人のすてきなしごと』としました。

う〜む、敗北感…(-_-)。

ところが読者からは「この人たちの仕事って、いったい何だろうね」とわくわくしながら子どもと読みましたという声をいただきます。

ありがたいことです。

 

ふかいあな

キャンデス・フレミング 文  エリック・ローマン 絵  あすなろ書房

 

トラに追いかけられて、カエルが穴におっこちました。

 

 ケ、ケロ、ケロ! ケ、ケロ、ケロ!

 ふかい ふかい あな。

 とんでも はねても でられない。

 なんてこったい!

 

カエルをたすけてあげようと、ネズミが手をのばしますが、やはり落ちてしまいます。

なんてこったい!

 

スローロリスがのろりのろりと救助にやってきますが、やはり落ちてしまいます。

なんてこったい!

クマも、サルも、やっぱり落ちてしまいます。なんてこったい!

トラは、これでみんないっぺんに食べてしまえると喜んで、舌なめずり、ぺろぺろりん!

穴の中のみんなは絶体絶命。声をそろえて「なんてこったい!」。

 

ところがそのとき、強力な助っ人があらわれて、一発逆転!

みんなは穴から助け出され、かわりにトラが穴のなか。

こんどはトラがいう番です。なんてこったい!

トラはめそめそ泣いて、たのみます。「みなさん、どうかたすけてください」

 

そしたら、カエルたちが、なんてこたえたと思いますか?

ヒントをあげましょう。

原文では、カエルたちが何度もくりかえす「なんてこったい!」同様、"Oh, no!"です。

みなさんにも翻訳家の苦しみ(と楽しみ)のおすそわけ。(^o^) ふっふっふ。

 

東洋的な絵ですが、アメリカの絵本です。

帯には「最強の読み聞かせ絵本」とあります。

こどもたちに「なんてこったい!」の部分を読んでもらうとたのしいですよ。

マンゴーとバナナ

ネイサン・クマール・スコット 文  T.バラジ 絵  アートン

 

インドネシアのジャングルに、まめじかのカンチルがすんでいました。

カンチルのなかよしは、さるのモニェ。

元気に遊べば、おなかがすく。でも、たべものさがしは、めんどくさい。

そこで、かしこいカンチルは、いいことを考えました。

マンゴーの木と、バナナの木を育てれば、いつでも実をもぐだけでたべられるはず。

 

やがてマンゴーとバナナがたっぷり実りました。

ところが、さるのモニェは、まめじかカンチルが木にのぼれないのをいいことに、ひとりでたべてしまいます。

サルカニ合戦みたいでしょう。でも、かしこいカンチルがマンゴーをとりかえす方法は、南国的でとても痛快! おおらかな昔話の楽しさに満ちています。

 

この本の絵は、伝統的な更紗の技法で布に描かれています。

巻末に、カラムカリとよばれる古来の技法が写真で説明されていて、ユニークで質の高い絵本です。

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最近、板橋区立美術館で開かれたインド、タラブックスの絵本展に原画が展示されていました。

まさに工芸品のような美しい本で、問い合わせもいただくのですが、出版社がなくなってしまい、手に入りません。どこかでまた出してくれないかしら…。

 

そうそう、主人公の「まめじか」について。

いったいどんな動物かしりたくて、上野動物園のまめじかに、私は会いにいったのでした。

ミニウサギくらいの可愛いシカでしたよ。

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チョコレート屋のねこ

スー・ステイントン 文  アン・モーティマー 絵  ほるぷ出版

 

小さな村に、チョコレート屋がありました。

チョコレート屋のおじいさんは、きむずかしくて、ひとりぼっち。けっしてわらいません。

お店も古ぼけていて、ほこりをかぶり、ほったらかし。

すべてが投げやりで、さびしくて、たいくつだったのです。

 

あるひ、おじいさんは、チョコレートでねずみを作りました。それをじっと見ていたのは、おじいさんのねこ。チョコレートねずみのしっぽをくわえて、こっそり隣の八百屋にもっていきました。

 

チョコレートねずみをたべた八百屋のおじさんは、なぜか心がうきうき。いいことを思いつきます。

ねこはチョコレートねずみをパン屋にも、花屋にも、もっていきます。

たべた人には、かならず、なにかしらすてきな考えがひらめきます。

そのひらめきが重なっていって、やがて村じゅうに笑顔があふれることになりました。もちろん、チョコレート屋のおじいさんにも。

 

アン・モーティマーの描く猫の絵は、猫好き必見。

ただし、チョコレートがたべたくなるのも必至なので、お覚悟を。(^_^;)

 

もうひとつの見どころは、巻末にあります。

細かい文字で、チョコレート数千年の歴史をぎっしり「チョコレートの話」。

これ、読み応えあるんですよー。

 

チョコレートの原料であるカカオが、古代文明の神々の食べ物だったってこと、しってました?

アステカ帝国の皇帝は、不老長寿の薬としてカカオ飲料を一日50杯ものんでいたそうですよ。

なんと、カカオ豆100粒で、どれい1人と交換できたんですって。

そしてカカオに砂糖をくわえた飲み物が17世紀末のヨーロッパ貴族たちの贅沢品となり、いまのチョコレートのように固形になって庶民がたべるようになったのは、産業革命のときです。

 

この1頁を翻訳するために、わたしは分厚い参考書を何冊も読破し、折しも国立科学博物館で開催されていた「チョコレート展」に編集者Sさんとともに足を運びました。Sさんとの打ち合わせは、有名なチョコレート専門店でショコラショーを飲みながらという甘いおまけつき。ふふふ。

この歴史をしると、チョコレートねずみのふしぎな力についても、なんだかわかるような気がします。

チョコレートの味わいが、ぐっと深まるので、ぜひご一読を

 

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ぶきみな よるのけものたち

ジアナ・マリノ 作絵  BL出版

 

漆黒の 夜の闇。

目玉だけが きょろきょろ。

目玉の主は フクロネズミ。そして スカンク。

2ひきは、ぶきみな よるのけものが うろついているようだと、にげまわります。

正体がみえないものを怖がると、恐怖はどんどんふくらむものです。

おなじように怯えるオオカミ、そしてクマもやってきて、みんなそろって右往左往…。

さいごに、ぷふふっと笑えます。

このテンポ感、なんだか落語みたい。

  

著者の献辞も しゃれています。

大切な人たちの名前をつらねて「あなたたちが いてくれるから わたしは くらやみが そんなに こわくない」って。そこにピカッと懐中電灯の光があたってるの。いいなあ。

アメリカの若い絵本作家による、視覚的な遊び心あふれる絵本です。

 

しかし、みなさん、この絵本がこれで終わりとおもったら大間違いですぞ。

表紙カバーをはずしてみてください。

な、なんと表紙カバーの裏が登場人物(動物)である「よるのけものたち」、正しくは夜行性動物&薄明薄暮性動物たちの生態図鑑なのだ! ほらほら、みて〜!

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買った人だけの特典ですよね〜♪

てゆうか、この特典、奥ゆかしすぎて、図書館でも扱いに困るだろうし、書店の店頭でも困るだろうし、ネット書店に至ってはサッパリですね。(-_-) だから売れ行きイマイチ。。

訳者としては、この部分の翻訳のために数多の動物図鑑と資料にあたり、相当なエネルギーを注いだので、しくしく…。

でも、作者のジアナが絵本をまるごと楽しもうとした意欲と冒険は大いに評価します。

版元の太っ腹さにもね。(だってお金かかるもん)

 

版元の太っ腹さと奥ゆかしさといえば。

なにしろ漆黒の闇でくらす動物たちの話なので、ほとんどまっ黒な本です。

でも黒いベタ塗りって、印刷・製本としては非常に厄介なんですって。

たしか、二度塗りして、さらに紙どうしがくっついてしまわないようにコーティングが必要ときいたような…(うろ覚えです。まちがってたらゴメンナサイ)。担当編集者の江口さんは、とっても大変だったみたいです。まさに知られざるプロフェッショナル物語。

 

その甲斐あって、できあがりが原書より格段に良い!

日本の職人芸と心意気を感じます。どうぞ、じっさいにお手にとって、ぺろりと皮をむいて、隅から隅まで、ずずーいとごらんくださいませ。

ことりのみずあび

マリサビーナ・ルッソ 作絵  あすなろ書房

 

  よるです。

  あめが ふっています。

 

都会のビルの上で、小さなことりが雨の大通りをみおろし、小さなつばさをふるわせて、つぶやきました。

 

  あめのひって いやだなあ。ぼく、あめ だいきらい!

 

でも朝になってみれば、おやまあ、いいお天気。

ことりは うれしくなって うたいだしました。

 

  あめが やんだよ、あめが やんだよ。

  みずあびに ぴったりの いいひだよ。

 

ことりは とびたち、アスファルトでおおわれた町のあちこちを、みずあびにぴったりの みずたまりをさがしてまわります。

ちょうど いいみずたまりをみつけて、空から急降下。ちゃっぷーん!

意気揚々と みずあびをはじめるのですが、つぎつぎに邪魔が入るのですよ。ボールがとんできたり、子どもや犬が走ってきたり…!

だって 公園の遊歩道にできた みずたまりなんですもの。

 

こわがりの ちいさなことり。

なんども あわてて にげだします。そのうちに あらまあ、みずたまりがすっかり小さくなってしまいました。

ことりは かなしい こえで うたいます。

 

  みずあびは もう おしまい。きょうは もう おしまいだよ。

 

またこんど雨がふるまで みずあびは おあずけのようです。

ことりは 雨がだいきらいなのに…。

 

ところが…。

うふふ、いいものみーっけ!

都会のことり、けなげで いじらしいなあ。

ささやかだけれど、小さなからだの小さな心臓がトキトキと脈打つのが伝わってくるようなドラマの絵本です。

 

作家のマリサビーナ・ルッソはアメリカの絵本作家。

作品の数は多くありませんが、「ぎょうれつ ぎょうれつ」はやはり、日常のなかのささやかな子どもの喜びをうまくすくいとっていて忘れがたい作品でした。

 

それにしても、わたし、ほんとに「ことり」が好きみたい。ことりの絵本が、ほかにもいろいろありました。

ことりの おそうしき

ロボットと あおいことり

あきちゃった!

ことり だいすき

 

ことりファンのみなさま、どうぞ ごいっしょに。

  ちゃぽちゃぽ ぷるぷるっ!

  ぱちゃぱちゃ ぷるるん!

 

  

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