わたしの本のこと

翻訳絵本

ずっと 

ケイト・クライス 文  サラ・クライス 絵   WAVE出版

 

エリは、うまれたときから、犬のバロンとくらしてきました。家族として。

エリが六才になったとき、バロンはもう おじいちゃん。

残された時間は多くないことに、エリは気づきます。

 

ペットと子どもの別れを描く絵本はいくつかありますが、この本が一味ちがうのは、エリのきもちとバロンのきもちが微妙にすれちがっていることでしょう。そこが文学的。

エリはバロンのために、いろんなことをやってあげたい。あれも、これもと欲張ります。

読者としては、ちょっとハラハラして、えー、それちがうでしょと、エリに注意をしたくなってしまいます。

だけどやっぱり、それでよかったようです。

 

翻訳しながら、O・ヘンリーの賢者の贈り物を思い出しました。

きもちのボタンの掛け違いは、はたからみると、ちょっと滑稽。

それでも濃やかに通うものがある関係というのは、人と人のあいだでも、動物とでも、おなじような気がします。

家族って、きっとそんなもの。

 

この本の依頼をうけたとき、一瞬ためらったわたしに、浜本律子編集者がつぶやきました。

「悲しい本じゃないと思うんです」。

 

訳し終えて、そのとおりだと思います。

幸せな本です。

 

この本の制作裏話は、こちらをお読みください。

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